ランダム・センサリングによる信頼性データの統計的解析

DOI Web Site オープンアクセス

書誌事項

タイトル別名
  • STATISTICAL ANALYSIS OF RELIABILITY DATA IN RAMDOMLY CENSORED LIFE TESTING

この論文をさがす

説明

信頼性における寿命試験では技術的理由などにより、ランダム・センサリングによるデータしか得られないことがある。またフィールド・データでは、必然的にシステム・データしか得られないから、コンポーネントの観点からみればこれはランダム・センサリングによるデータになる。このように信頼性の分野ではランダム・センサリングによるデータは実際にもよくみられるので、このデータの統計的な解析法は重要である。本論文ではこのランダム・センサリングのデータの取り扱い方を論ずる。X_l、X_2、……、X_kを互いに独立で非負た連続確率変数として、X_iはコンポーネントiの寿命値を示すものとする。これらk個のコンポーネントから構成される直列システムについて考えれば、その寿命はZ=min(X_1、…、X_k)で与えられる。{F_i(x)}、F(x)をそれぞれコンポーネント、直列システムの寿命の分布関数として、{Q_i(x)}、Q(x)を{1-F_i(x)exp(-Q_i(x))}、1-F(x)=exp(-Q(x))を満たすものとして定義する。直列システムの寿命試験により、システムの故障時間Zとシステムの故障原因{δ_i}(δ_i=1…コンポーネントiによるシステムの故障、δ_i=0…その他)が観測されるものとする。このときZと{δ_i}は一般には独立でないが、{Q_i(x)}が、{P_i=P(δ_i=1)}として、{Q_i(x)=P_iQ(x)}と表わされればZと{δ_i}は独立となる。逆にZと{δ_i}が独立ならば{Q_i(x)=P_iQ(x)}となる。すなわち、システムの故障時間と故障原因が独立であるための必要十分条件は、コンポーネントの寿命の分布関数が{F_i(x)=1-exp(-P_iQ(x))}と表わされることであることが示される。つぎに、この定理をシステムデータからコンポーネントの故障率の不偏推定量を求めることに応用する。n個の直列システムに対してタイプーII打ち切りの寿命試験により、寿命データZ_1<Z_2<…<z_rと{r_i}(r_iはコンポーネント_iによるシステムの故障数)が観測されたものとする。また{Q_i(x)}が{Q_i(x)=λ_iH(x)}と表わされ、H(x)は既知とする。このときλ_iの不偏推定量λ^^^_iは、uをu=Σ^^r_<j=1>H(z_j)+(n-r)H(z_r)としてλ^^^_i=(r_i/r)・(r-1)/uで表わされることが、前の定理より示される。この推定量λ^^^_iをコンポーネントそのもののデータからの不偏推定量λ^^〜_iと比較すると、効率は悪くkなるがφ_i=(Σ^^k___<j=1>λ_i-λ_i)/λ_i〓1ならば50%以上の効率があることが示される。また、ランダム・センサリングによる寿命試験はそうでない寿命試験に比べて試験時間を短縮できる利点があるが、このことまで考慮にいれて推定量λ^^^_iとλ^^〜_iの効率を比較するとその効率はそれほど悪くないことがわかる。とくにH(x)=x^mで、m〓1の場合はλ^^^_iのほうが効率がよいことが示される。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ