食べ物の「こく」を科学するその現状と展望

書誌事項

タイトル別名
  • “Koku” Involved in Food Palatability: An Overview of Pioneering Work and Outstanding Questions
  • タベモノ ノ 「 コク 」 オ カガク スル : ソノ ゲンジョウ ト テンボウ
  • “Koku” Involved in Food Palatability: An Overview of Pioneering Work and Outstanding Questions

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説明

「こく」は,現在,おいしさと同義語で使用されている場合が多い.しかし,「こく」は,味,香り,食感,色,艶と同様に,それぞれの食べ物が有する特性の一つであり,おいしさを決める要因である.「こく」には強弱が存在し,それぞれの食べ物に適した「こく」の強さでおいしさが付与される.「こく」は,食べ物の持つ味,香り,食感による複数の刺激から形成される複雑さによる特性である.これらの複数の刺激は,その食べ物の特徴を決める味わいのベースとなる部分であり,さらに持続性や広がりが付与されたときに「こく」が感じられる.このベース部分からできる味わいに持続性や広がりを与えることができる重要な成分として,現在,うま味物質と油脂が挙げられる.このうち,うま味物質は,味や香りからなる風味質を強くすると同時に広がりや持続性を与える.また,油脂は香気成分を保持することで,「こく」の特性である持続性を与えることができることがわかってきた.

収録刊行物

  • 化学と生物

    化学と生物 54 (2), 102-108, 2016

    公益社団法人 日本農芸化学会

被引用文献 (4)*注記

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参考文献 (11)*注記

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