鉄及び銅のフッ化物がMMA/TBBOレジンの重合及び象牙質への接着に及ぼす効果

  • 秋元 隆宏
    東京医科歯科大学医用器材研究所機能性高分子部門
  • 門磨 義則
    東京医科歯科大学医用器材研究所機能性高分子部門
  • 今井 庸二
    東京医科歯科大学医用器材研究所機能性高分子部門

書誌事項

タイトル別名
  • Effect of Fluoride of Copper and Iron on Polymerization of MMA/TBBO Resin and Adhesion to Dentin

この論文をさがす

抄録

象牙質に対するMMA/TBBOレジンの接着メカニズムを理解するためのモデル実験として, フッ化第二銅(CF), フッ化第二鉄(FF)および一般に象牙質への処理液として使われている塩化第二鉄(FC)のクエン酸(CA)溶液で処理したコラーゲンシート存在下にMMA/TBBOの重合を検討した.MMA/TBBOレジンの硬化時間は, FC-CA溶液で処理したときに比べCF-CA, FF-CA溶液で処理したコラーゲンの存在下で速くなった.PMMAの分子量は重合した場所により異なり, コラーゲンシートの内側で重合したPMMAの分子量が最も大きく, 外側で重合したPMMAの分子量が最も小さかった.象牙質に対する接着強さは, CF-CA, FF-CA溶液で処理してもFC-CA溶液で処理した時と変わらなかった.CF-CA, FF-CA溶液処理は, FC-CA溶液処理と同様に効果的であった.これらの結果は, コラーゲンに吸着された鉄塩がMMAの重合に関与し, その結果として象牙質へのMMA/TBBOレジンの接着にも影響を及ぼしていることを示唆している.

収録刊行物

  • 歯科材料・器械

    歯科材料・器械 8 (3), 425-430, 1989

    一般社団法人 日本歯科理工学会

被引用文献 (3)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ