中国人および日本人における外頸動脈諸分枝の起始様相

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タイトル別名
  • Ramification aspects of the external carotid artery in Chinese and Japanese

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広州第一軍医大学解剖学教研室に保存している中国人成人の標本17体(31側)を用い, 顎顔面領域の主たる血液供給源である外頸動脈ならびにその分枝について起始様相を観察・計測し, 日本人のものと比較した.総頸動脈が内・外頸動脈に分岐する高さは, 第5頸椎の椎体上縁から第3, 第4頸椎間の椎間円板までの高さであった.外頸動脈諸分枝のうち安定して派出する上甲状腺動脈, 舌動脈, 顔面動脈, 後頭動脈, 後耳介動脈, 浅側頭動脈, 顎動脈の7動脈について観察した.上甲状腺動脈は, 単独起始は26側(83.9%)で, うち2側(6.5%)は総頸動脈起始であった.残る5側(16.1%)は舌動脈と共同幹を形成していた.舌動脈は単独起始が18側(57.9%)で, 8側(26%)は顔面動脈と共同幹であった.顔面動脈との起始順序の入れ替わりや舌顔面甲状動脈幹はみられなかった.後頭動脈は全例で単独起始していたが, 起始順序は第1番目から第4番目まであり, 外頸動脈諸分枝中最も変化に富んでいた.後耳介動脈は全例これら4動脈の遠位で, 単独で起始し, 浅側頭動脈, 顎動脈の2動脈は外頸動脈の2終枝を形成していた.前4分枝の起始様相は変異が多く認められたのに対し, 後3分枝の様相は安定し, 変異は認められず, これら7分枝の起始様相は8タイプに分類できた.また外頸動脈の起始から2終枝に分岐するまでの長さ(外頸動脈の長さ)は中国人で平均64.5 mm, 日本人では61.4 mmであった.中国人の外頸動脈諸分枝の起始様相とその長さは日本人のものと大差なかった.

収録刊行物

  • 歯科医学

    歯科医学 60 (4), 302-308, 1997

    大阪歯科学会

参考文献 (25)*注記

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