4 わが国の成人における口腔保健状態の世代間格差(第507回 大阪歯科学会例会)

書誌事項

タイトル別名
  • Oral health differences among different generations of Japanese adults
  • わが国の成人における口腔保健状態の世代間格差
  • ワガクニ ノ セイジン ニ オケル コウクウ ホケン ジョウタイ ノ セダイカン カクサ

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抄録

20世紀後半から21世紀初頭のわが国において,乳幼児期や学童期では,齲蝕が減少傾向にあるなど口腔保健状態に変化が生じていることが,歯科疾患実態調査や学校保健統計の結果から報告されている.それに対して,成人では,齲蝕および歯周疾患の年次推移が明らかにされておらず,口腔保健状態に世代間格差が存在するのかどうか,十分に検討されていないのが現状である.<br>   そこで,本研究では,成人における口腔保健状態の世代間格差の有無を明らかにするため,某事業所における成人の口腔保健状態の年次推移を把握するとともにその口腔保健状態を出生年度別に比較した.<br>   対象者は,某事業所において実施した歯科検診事業(任意受診)を1994〜2006年の間にはじめて受診した者で,男性1,119名,女性2,154名,合計3,273名であった.<br>   口腔保健状態の評価は,DMFT指数,CPIコード0のセクスタント数および口腔年齢を指標とし初回受診時のみの結果を用い,受診年度別および出生年度別に解析した.<br>   その結果,受診年度別の解析から,1994〜2006年において,20歳代のDMFT指数および口腔年齢が減少していること,20〜50歳代のCPIコード0のセクスタント数が増加していることがそれぞれ分かった.<br>   また,出生年度別解析から,1975年以降生まれの者は,1935〜1974年生まれの者よりも齲蝕が少なく,口腔年齢が低いこと,また,1975年以降生まれの者は,1950〜1974年生まれの者よりも歯周組織状態が良好であリ,さらに1935〜1949年生まれの者は1950〜1974年生まれの者よりも歯周組織状態が悪いことが分かり,それぞれ世代間格差の存在が明らかとなった.<br>   今後の成人保健の対象となる者の口腔保健状態が,これまでの状況よりも良好であることから,出生年度別の口腔保健状態を配慮した歯科保健活動および歯科医療の展開が必要であることが示唆された.

収録刊行物

  • 歯科医学

    歯科医学 70 (2), 183-184, 2007

    大阪歯科学会

被引用文献 (2)*注記

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参考文献 (36)*注記

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