- 【Updated on May 12, 2025】 Integration of CiNii Dissertations and CiNii Books into CiNii Research
- Trial version of CiNii Research Automatic Translation feature is available on CiNii Labs
- Suspension and deletion of data provided by Nikkei BP
- Regarding the recording of “Research Data” and “Evidence Data”
歯の動揺度自動診断システムによる歯周組織の機能評価 (大阪歯科大学大学院歯学研究科博士論文内容要旨および論文審査結果要旨)
Description
補綴物設計時に問題となる歯の動揺度を客観的に表現できる方法が確立できれば, 診断だけでなく治療効果の判定法としての利用価値も高いと考えられる. そのため, 今日までさまざまな歯の動揺度測定法が開発, 報告されてきた. しかし, どの測定法も日常臨床で利用するには多くの問題点を抱えており, 研究の域を出るまでには至っていない. そこで, 本研究では, 歯の動揺度を治療経過に伴って臨床で容易に, しかも客観的な情報として残しておける診断システムの開発ならびにそのシステムの臨床応用を目指した. 岡らの開発した歯の動揺度測定システムに改良を加え, 臨床での実用性を高めるために以下の実験を行った. 歯周組織の力学的性状を判定できるパラメータを抽出するために, Noyesらの提案した歯周組織の力学モデルを採用し, 上顎中切歯での測定結果にコンピュータによるカーブフィッティングを行い, 各パラメータ値を求めた. 測定条件による影響を調べるために, 予荷重の大きさ, 加振点の位置および傾斜角度を変えた場合の各パラメータ値の変化を観察した. 1人の歯科医によって判定した多数歯の臨床的動揺度の判定結果と本研究で求めたパラメータ値との関連性を調べるために判別分析法を適用し, コンピュータに動揺度の決定を行わせた. 被験歯の状態を容易に認識できるよう視覚に訴える方法として, Noyesモデルのパラメータのうち, 3つのパラメータ値を三角形の各頂点にとったモビリティトライアングル (MT) 図を作成し, 歯の動揺度との関連性について調べた. 以上をまとめて, コンピュータ画面の指示通りに操作するだけで, 測定から解析まで臨床医にも容易に行える歯の動揺度自動診断システムを完成した. 本システムを歯周疾患歯, 外傷歯, 歯根吸収歯および歯内骨内インプラントに適用し, 臨床での有用性を検討した. その結果, 以下の知見を得た. 1. 唇舌方向の加振の場合には, Noyesらの歯周組織モデルの適用が可能であった. 2. 本システムでは, 経過観察に利用する場合, 測定条件を規定しておく必要がある. 3. 判別分析法を用いコンピュータに診断させることによって, 客観的な動揺度の段階評価が可能となった. 4. モビリティトライアングル (MT) 図を採用することによって, 歯周組織の状態を視覚的にとらえることができるようになった. 5. 実際の臨床ケースに適用し, 本システムは単に動揺度の診断だけでなく歯周組織の機能評価が可能であり, 治療効果の判定, 経過観察にも利用できることがわかった. 以上のことから, 今後, 歯周組織の機能評価を的確に行い補綴処置を再検討していく上で, 本自動診断システムは有力な手段になると考えられる.
Journal
-
- Shikaigaku
-
Shikaigaku 53 (1), g39-g40, 1990
Osaka Odontological Society
- Tweet
Details 詳細情報について
-
- CRID
- 1390001204209733504
-
- NII Article ID
- 110001723301
-
- ISSN
- 2189647X
- 00306150
-
- Text Lang
- ja
-
- Data Source
-
- JaLC
- CiNii Articles
-
- Abstract License Flag
- Disallowed