マウスES細胞からneural crest細胞への分化誘導

書誌事項

タイトル別名
  • Differentiation of neural crest cells from mouse ES cells
  • マウス ES サイボウ カラ neural crest サイボウ エ ノ ブンカ ユウドウ

この論文をさがす

抄録

多能性幹細胞であるES細胞やiPS細胞は,無限の増殖力と様々な細胞へと分化できる能力を有することから,再生医療における新しい細胞供給源として期待されており,多くの分野において盛んに研究が進められている.歯科領域においても,これらの細胞を用いた顎顔面領域の再生医療は注目されており,歯や歯周組織,顎骨の再生に期待が寄せられている.本研究において私たちは,マウスES細胞から,顎顔面領域の大部分の形成に必要な神経堤(neural crest)細胞の誘導を試みた.Neural crestは,発生過程において胚体内を広範囲に遊走して,神経,グリア,メラニン産生細胞,顎顔面の骨および軟骨,象牙質,歯髄など様々な組織に分化する.ES細胞をin vitroで分化誘導するためには,外胚葉,中胚葉,内胚葉の三胚葉に分化できる胚様体(embryoid body;EB)を形成させる培養法が一般的に用いられている.そこで,未分化ES細胞をEB形成により分化させた時に,神経前駆細胞およびneural crest細胞が存在するかどうかを特異的抗体を用いた免疫組織染色によって調べた.神経前駆細胞のマーカーとしてNestin,neural crest前駆細胞のマーカーとしてAP2αを用いた.その結果,EBの一部にNestin 陽性細胞の集団がみられ,さらにAP2α陽性細胞を確認した.これは,未分化ES細胞がEB内でneural crest前駆細胞に分化したことを示しており,顎顔面再生の細胞資源として利用できるものと考えられる.

収録刊行物

  • 歯科医学

    歯科医学 74 (1), 1-5, 2011

    大阪歯科学会

被引用文献 (1)*注記

もっと見る

参考文献 (11)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ