埼玉県秩父山地と平野部における8年間の降水のpH, ECと成分の比較

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タイトル別名
  • Comparison of pH, EC values and ionic components of precipitation for 8 years in the Chichibu Mountains and Kanto Plain in Saitama Prefecture, Japan
  • サイタマケン チチブ サンチ ト ヘイヤブ ニ オケル 8ネンカン ノ コウスイ ノ pH EC ト セイブン ノ ヒカク

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抄録

埼玉県の大滝村(山間地)と寄居町(平地)で8年間,降水のpHとECを測定し,浦和市(都市部)のデータと比較した。8年間におけるすべての降水のpH平均値は大滝村・寄居町・浦和市でそれぞれ5.08, 4.47, 4.53で,山間地の大滝村は他の2カ所より約0.5高かった。8年間のすべてのEC平均値は,大滝村・寄居町・浦和市で,それぞれ10.3, 21.3, 24.1μS/cmであった。大滝村のECは8年間を通して他の2カ所のほぼ50%であった。降水のCl^-濃度は大滝村・寄居町・浦和市でそれぞれ0.32, 0.75, 0.73mg/L,NO^-_3濃度はそれぞれ0.79, 1.74, 1.99mg/L, SO^<2->_4濃度はそれぞれ0.80, 1.65, 2.34mg/Lで寄居町と浦和市では大滝村の2倍以上の濃度を示した。寄居町の降水のpHとECは浦和市と差がなかったが,これによって東京湾地域から内陸部に向かって生じた大規模な気流によって大気汚染物質が輸送されていることが裏付けられた。また,山間地に位置する大滝村は,近くに大気汚染物質の発生源がないものの,わずかながら大気汚染物質の流入の可能性が示唆された。しかし,大滝村は他地域のバックグラウンドの降水の性質に匹敵しており,関東地方のバックグラウンド地域の一つと位置づけられる。

収録刊行物

  • 森林立地

    森林立地 41 (1), 13-17, 1999

    森林立地学会

参考文献 (23)*注記

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