中国南西部のカルスト地域における天然林を移動する水の水質及び養分収支

  • 盧 暁強
    United Graduate School of Agriculture Science, Tokyo University of Agriculture and Technology
  • 戸田 浩人
    Faculty of Agriculture, Tokyo University of Agriculture and Technology
  • 丁 訪軍
    Guizhou Academy of Forestry Sciences
  • 崔 東壽
    Faculty of Agriculture, Tokyo University of Agriculture and Technology
  • 方 昇佐
    College of Forest Resources and Environment, Nanjing Forestry University

書誌事項

タイトル別名
  • Hydrochemistry and nutrient budgets in a natural forest in a karst area of southwestern China

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説明

中国の南西部茂蘭のカルスト地域において,林外雨,林内雨,樹幹流及び渓流水を採取し,降水の樹冠通過前後の化学組成の変化を明らかにするとともに,主なイオンの収支を把握した。本調査地は,人為的攪乱のない亜熱帯常緑・落葉広葉樹が混交した天然林である。水循環におけるCa^<2+>とMg^<2+>の移動量が多く,カルストの炭酸塩岩の影響が示唆された。中国国内の他の地域に比べ,降雨のイオン濃度が低く,pHが高いという特徴は,人為的な影響よりもカルストの自然条件が大きいと考えられる。また,主なイオンの収支はCaとMgでマイナスとなり,K^+,Na^+,Cl^-,SO_4^<2->-S及び溶存無機態窒素(DIN)はプラスとなった。樹冠収支モデル(Na^+トレーサー)を用い,林内雨中の乾性沈着とイオンの樹冠交換割合を推定した。年間乾性沈着量はCa^<2+>が最も多く,ついでSO_4^<2->,NH_4^+であった。森林に流入したDINは年間12.3kgha^<-1>で,そのうち86%は,植生-土壌生態系への保持が推察され,植生と土壌微生物に効果的に利用されていた。

収録刊行物

  • 森林立地

    森林立地 53 (2), 61-71, 2011

    森林立地学会

参考文献 (55)*注記

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