四万十川源流部の森林流域における降雨イベント時の渓流水質変動とL-Q法への適合度

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タイトル別名
  • Variation of streamwater chemistry during rainfall event and the fitness for the L-Q method in a mountainous headwater catchment in the Shimanto River basin
  • シマントガワ ゲンリュウブ ノ シンリン リュウイキ ニ オケル コウウ イベントジ ノ ケイリュウ スイシツ ヘンドウ ト L Qホウ エノ テキゴウド

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抄録

国内でも有数の多雨地域である高知県西部,四万十川源流域に位置する森林流域において,大雨(総降雨量100mm以上のイベントとする)を含む降雨イベント時の渓流水質(Cl^-,SO_4^<2->,NO_3^--N,Na^+,K^+,Ca^<2+>,Mg^<2+>,SiO_2)の変動パターンを分類し,L-Q法に対する適合度を比較した。試験流域の面積は18.7ha,平均傾斜37°,植生はモミ・ツガ天然林,地質は堆積岩,調査は総雨量18〜289mmの17降雨イベント(2時間毎に採水)で行った。各降雨イベントの流量-濃度関係を基に,(1)SO_4^<2->,Na^+,Ca^<2+>,Mg^<2+>:常に負の相関,(2)Cl^-,SiO_2:負の相関だが,降雨規模が大きくなると相関低い,(3)NO_3^--N:正の相関だが,降雨規模が大きくなると負の相関,(4)K^+:相関無しの4タイプに分類した。SO_4^<2->,Na^+,Ca^<2+>,Mg^<2+>の流量-濃度関係はCl^-,SiO_2,K^+,NO_3^--Nより対数上の直線性が高かった。Cl^-,SiO_2は流量増加過程と流量逓減過程で流量-濃度関係が異なり,規模の大きな降雨イベントほどその違いが明瞭になった。大雨の前半に流量増加に伴ってNO_3^--N濃度は上昇し,後半にNO_3^--N濃度は顕著に低下したため,大雨時のNO_3^--N濃度の変動はCl^-,SiO_2より大きかった。以上より,本流域のL-Q法の適合度はSO_4^<2->,Na^+,Ca^<2+>,Mg^<2+>>Cl^-,SiO_2,K^+>NO_3^--Nであると考えられた。

収録刊行物

  • 森林立地

    森林立地 49 (2), 133-144, 2007

    森林立地学会

参考文献 (57)*注記

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