スギ人工林の下層植生および伐採後の森林再生に及ぼす隣接照葉樹林の林縁効果

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タイトル別名
  • Edge effects from a natural evergreen broadleaved forest patch on advanced regeneration and natural forest recovery after clear-cutting of a sugi (Cryptomeria japonica) plantation

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抄録

本研究は,50年生スギ人工林において伐採前の下層植生と伐採後の実生の発生に対する隣接照葉樹二次林(照葉樹林)からの林縁効果について解析した。伐採前のスギ人工林の下層植生の分布に対する隣接照葉樹林からの林縁効果は,林縁から20-30m程度まで認められた。下層に確認された樹種のうち,スダジイ,イチイガシおよびハナガガシなどの重力散布型の木本種は,タブノキおよびヒメユズリハなどの被食散布型の木本種と比較して個体数が少なく,特に林縁から近い範囲に集中して分布していた。林縁から30m程度までの範囲で,伐採1年後に萌芽更新を含む前生樹由来の更新個体が多かったことから,比較的早く森林が再生すると考えられた。伐採後に新たに発生した照葉樹林構成種の実生も,林縁付近に偏って発生していた。発生した実生のうち,タブノキやクスノキなどの被食散布型の木本種では発生個体数が比較的多かったが,アラカシやスダジイなどの重力散布型の木本種の発生個体数は少なかった。これらの結果から,伐採跡地に隣接する照葉樹林は,伐採後の森林の再生に対して前生樹(下層植生)からの更新および伐採後に発生する実生による更新の両面への影響を通して森林の再生を早めることが示唆され,その効果が見られる距離は林縁から30m程度であった。

収録刊行物

  • 森林立地

    森林立地 49 (2), 111-122, 2007

    森林立地学会

被引用文献 (4)*注記

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参考文献 (53)*注記

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