地球温暖化による内蒙古草原の移動可能性

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タイトル別名
  • The realizability for distribution range shifting of steppe in an Inner Mongolia by global warming
  • チキュウ オンダンカ ニ ヨル ウチモウコ ソウゲン ノ イドウ カノウセイ

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抄録

中国内蒙古自治区周辺の降水蒸発散能比(P/PET_t)を,Thornthwaite式・気温と降水量月別平年値等から計算し,1951〜'80年・1961〜'90年・1971〜2000年の3期の乾燥度区分図を描いた。各期の図について,乾燥度で区分された各地域の東端の経度・中心位置の経度・面積を比較することにより,第1〜3期における乾燥化が確認できた。自治区内外に11地点を選定し,乾燥化の原因を解析した。その結果,年平均気温(5年移動平均値)の46年(1953〜'98)間の経時変化傾向が地点間で極めて良く近似すること,第1〜3期の20年間の気温上昇を約0.8℃と見て良いこと,この値は1971〜'88年の年平均気温の上昇速度0.349℃/yearから求めた値と概ね一致しYatagai and Yasunari (1994)の結果とも良く近似することが分った。気温・降水量とも5年移動平均値から計算したP/PET_tの経時変化には一定傾向が見出せないが,5地点で値の減少(乾燥化)が明らかになった。第1期の各地点・各月の月平均値に0.698℃を加えた値によって第3期のP/PET_t値を推定したところ,良く一致した。すなわち,20年間に約半数の地点で起こったP/PET_t値の減少は気温上昇に起因すると見て良い。以上から,内蒙古自治区において地球温暖化による気温の逐次的上昇に起因する各草原の分布地移動が起こっている可能性が極めて強く示唆される。

収録刊行物

  • 森林立地

    森林立地 47 (2), 85-94, 2005

    森林立地学会

参考文献 (24)*注記

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