ササ群落と岩塊地の境界部における野ネズミのミズナラ堅果運搬・貯蔵行動と実生の分布

書誌事項

タイトル別名
  • Seed transporting routes and hoarding behaviors of wood mice for Quercus mongolica var. grosseserrata acorns and the distribution of the seedlings in the boundary between a block field and Sasa shrubs
  • ササ グンラク ト ガンカイチ ノ キョウカイブ ニ オケル ノネズミ ノ ミズナラケンカウンパン チョゾウ コウドウ ト ミショウ ノ ブンプ

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抄録

野ネズミがミズナラ堅果を運搬および貯蔵する際,林床植生の乏しい環境で,岩沿いや倒木周辺などの遮蔽物をどの程度利用し,それがミズナラ実生の分布にどう影響するのか明らかにした。糸巻きを付けた堅果を密生したササ群落内に10個,ササ群落を欠く岩塊地中央部に20個,これらの境界に86個設置し,持ち去り数や捕食数,運搬経路,貯蔵場所を調査した。その結果,ササ群落内では殆どの堅果がその場で捕食され,岩塊地では全ての堅果が残存した。一方,境界では約60%の堅果が持ち去られ,残りはその場に残存した。境界から持ち去られた堅果(N=51)のうち,17個が岩塊地に運ばれ,ササ群落にもほぼ同数の堅果が運ばれたと推測された。岩塊地で堅果は倒木に沿って運搬されることが多かった。また,堅果は岩沿いに高密度で貯蔵される傾向があった(N=6)が,岩塊および土壌中に貯蔵された堅果の方が多かった(N=11)。このため岩塊地では,野ネズミは岩塊や倒木などの豊富な遮蔽物の周辺を移動経路として利用し,堅果を岩塊周辺の土壌中に貯蔵したと考えられた。また,全てのミズナラ実生はササ群落ではなく,野ネズミによる堅果貯蔵が多く見られた岩塊周辺で観察された。以上のことから,ササ群落が隣接する岩塊地では野ネズミの堅果運搬や貯蔵行動がミズナラの更新に貢献することが示唆された。

収録刊行物

  • 森林立地

    森林立地 48 (1), 25-31, 2006

    森林立地学会

参考文献 (23)*注記

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