南アルプス静岡地域におけるイチイTaxus cuspidata人工林のニホンジカCervus nipponによる被害

  • 門脇 正史
    筑波大学農林技術センター井川演習林:筑波大学農林技術センター八ヶ岳演習林
  • 遠藤 好和
    筑波大学農林技術センター井川演習林:筑波大学農林技術センター

書誌事項

タイトル別名
  • Damage to Taxus cuspidate Plantation by Sika Deer Cervus nippon in the region of Southern Japan Alps in Shizuoka
  • ミナミアルプス シズオカ チイキ ニ オケル イチイ Taxus cuspidata ジンコウリン ノ ニホンジカ Cervus nippon ニ ヨル ヒガイ

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説明

2001年と2002年に南アルプス静岡地域におけるイチイ人工林の179個体についてニホンジカによる被害調査を行った。シカの食害による樹皮の剥皮は74.9(%)に及んでいた。2001年における健全木と被害木の胸高直径を平均値と標準偏差で示すと,それぞれ6.6±2.7cmと6.7±2.2cmであったが有意差はなかった。1年間の健全木と被害木の平均胸高直径成長率は,それぞれ30.0±27.2%,25.2±27.5%であり健全木の方が大きい傾向にあったが有意差はなかった。シカ被害の状況をイチイ人工林(平均胸高直径6.7cm)と比較するために隣接するコウヨウザン人工林(平均胸高直径13.5cm)230個体についても同様の調査を無作為に行ったが,シカの食害による剥皮は1本も観察されなかった。しかも,イチイと同じ直径階に属する個体(コウヨウザンのうち103本(44.8%))でも,コウヨウザンには被害木が観察されなかった。これらのことから,イチイに多数の食害が観察されたことは,樹木の平均胸高直径の太さに関係するのではなく樹種によるシカの嗜好性の違いによるものだと推測される。

収録刊行物

  • 森林立地

    森林立地 48 (2), 99-103, 2006

    森林立地学会

被引用文献 (1)*注記

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参考文献 (17)*注記

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