食道癌に対する光線力学療法(PDT:photodynamic therapy)

  • 矢野 友規
    国立がん研究センター東病院 消化管内視鏡科
  • 武藤 学
    京都大学大学院 医学研究科腫瘍薬物治療学講座

書誌事項

タイトル別名
  • PHOTODYNAMIC THERAPY FOR ESOPHAGEAL CANCER

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説明

<p>光線力学療法(PDT:photodynamic therapy)は,がんに取り込まれる腫瘍親和性光感受性物質(PS:photosensitizer)とPSの吸収波長に一致したレーザー光をがんに照射することで,光化学反応を生じさせて,腫瘍細胞を破壊する局所治療である.2015年に,国内で行われた医師主導治験の良好な結果を受けて,タラポルフィンナトリウム(レザフィリン®,Meiji Seikaファルマ)と半導体レーザ(PDレーザ®)を用いたPDTが化学放射線療法(CRT)後または放射線療法(RT)後遺残再発食道癌に対する治療として薬事承認され,保険適用が認められた.遺残再発食道癌に対するPDTの具体的な適応は,1)リンパ節や遠隔臓器に転移がない,2)遺残再発病変の壁深達度がT2に留まる,3)長径3cm以下,4)半周以下,5)頸部食道に浸潤していない病変になっている.PDTは,レーザー治療なので,病変に対して真正面の位置で出来るだけ近い距離から照射をしないと,治療効果が落ちてしまうという内視鏡治療の特徴とPS投与後の患者は,光線過敏症を起こす可能性があり遮光が必要という患者管理の特徴がある.また,レーザー医療機器は,誤った使用をすると,治療効果が不十分になるだけでなく,重篤な医療事故につながる可能性がある.遺残再発食道癌に対するPDTの各施設への導入に際しては,レーザーの特性や人体に及ぼす影響などの基礎的な講義を含めた講習会の受講が必須になっている.本稿をきっかけに,食道癌に対するPDTが安全で有効な治療として,消化器内視鏡医の間で普及することを期待している.</p>

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