ビオラニンが三糖配糖体であることの実験的根拠 (アントシアニンの研究 第40報)

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タイトル別名
  • Analytical Evidence for the Presence of Triglycosidic Pattern in Violanin. Studies on Anthocyanins, XL
  • ビオラニンが三糖体であることの実験的根拠(アントシアニンの研究)〔英文〕-40-
  • ビオラニン ガ サン トウタイ デ アル コト ノ ジッケンテキ コンキョ アントシアニン ノ ケンキュウ エイブン 40

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抄録

パンジーの濃紫色花のアントシアニンであるviolaninは, 最初Willstätter (1916) によってグルコース, ラムノースを結合糖にもつデルフィニジン配糖体として報告されたが, その際, 水解によって生成するグルコースとラムノースとが等分子比でなく, ラムノース含量がグルコースに比していちじるしく低い実験値が得られていた. 後年, P. Karrer (1933) はこの点を再検討し, かってWillstätterの得たviolaninは単一物質ではなくて, デルフィニジンおよびペオニジンのグルコース配糖体が混在していたと結論し, 主色素であるviolaninに対して新たにdelphinidin 3-rhamnoglucoside+P-coumaric acidの構造を提出した.<br>今回われわれはWillstätterの方法に準じて原著と同一の結晶形を示すviolanin標品を調製して, ペーパークロマト法で調べたところ, この結晶はまったく単一であり, Karrerの指摘したような混合物ではないことが明らかになった. この標品について行なった詳細な分析結果からすると, violaninは, WillstätterやKarrerの想定したような二糖配糖体ではなく, グルコース2分子, ラムノース1分子, パラクマール酸1分子を有するデルフィニジンの三糖配糖体であり, グルコースの2分子は, それぞれデルフィニジンの3- 位および5- 位の水酸基と結合していることが明らかになった. 本文に記載した諸知見とKarrerらの実験結果とを総合して, われわれはviolaninの構成をdelphinidin 3-rhamnoglucosido-5-glucoside+p-coumaric acidと改める.

収録刊行物

  • 植物学雑誌

    植物学雑誌 76 (900), 206-214, 1963

    公益社団法人 日本植物学会

被引用文献 (2)*注記

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