縞枯山の植生についての生態学ならびに生理学的研究

書誌事項

タイトル別名
  • Ecological and Physiological Studies on the Vegetation of Mt. Shimagare
  • I. Preliminary Survey of the Vegetation of Mt. Shimagare
  • I. 縞枯山の植生の予備調査

抄録

縞枯山は長野県北八ケ岳にある標高 2395 メートルの山で, その南西斜面には約 6 条の白い縞 (幅: 10 メートル, 長さ: 300-800 メートル, 間隔: 100 メートル) が, 主としてシラビソ, オオシラビソからなる 亜高山帯針葉樹林の濃緑色の中を水平に走っている。この白い横縞はこれら針葉樹の立枯れの幹が帯状に 密集してできたものである。優占樹木の芽生えは二つの縞の中間にある成木の樹冠下に発生し, その下方の 縞を通りぬけ, 斜面を下るにしたがって樹令や大きさを増し, 稚樹, 成木, 過熟木の段階を経て, ついには 枯死木となり, 一段下の縞枯部を形成している。<br>調査の第一歩として, 斜面の中ほどの一連の生育相について, ワク法, あるいは標準木法を用い, 立木密度, 樹令, 樹高, 胸高直径, 地上部重, 葉重, 下草などを調べた。立木密度は過密な稚樹相から成木相に 向かって一定の割合で減少し, 成木から過熟木まではあまり減少しない。 1 本あたりの葉量は稚樹から成木 までは増加するが, 成木から過熟木に向かっては減少し, それに伴って光合成器官 (葉) の非光合成器官 (幹 +枝) に対する重量比も急激に減少する。林分の単位面積あたりの葉量の最大は, 縞枯部のやや下方の密生 した稚樹のところにあり, それから成木のところまではあまり減少しないが, 縞枯部近くで急減する。林 内相対照度はこのような葉量の変化に対応した変化を示し, 下草の優占度はこの林内照度によって影響され ていることが明らかにされた。

収録刊行物

  • 植物学雑誌

    植物学雑誌 71 (843), 289-301, 1958

    公益社団法人 日本植物学会

被引用文献 (4)*注記

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001204223858176
  • NII論文ID
    130004212527
  • DOI
    10.15281/jplantres1887.71.289
  • ISSN
    21853835
    0006808X
    http://id.crossref.org/issn/0006808X
  • データソース種別
    • JaLC
    • Crossref
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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