益田市の匹見川流域の山崎遺跡の土壌の重金属の地球化学的分析による古代人の活動の復元

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タイトル別名
  • Reconstruction of ancient human activities using geochemical analysis of heavy metals in soils of the Yamasaki archaeological site, Hikimi River, Masuda City, Japan

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抄録

島根県の匹見川流域の山崎遺跡において縄文時代早期から後期の土器片が発見された.出土品による年代の推定に基づき遺跡発掘調査の3トレンチにおいて土壌を採取して重金属濃度の測定と人間活動の影響を推定した。68試料の分析値は土壌の起源,堆積物の粒度や人間活動に関連して組成が変化する.しかし,UCC(上部大陸地殻)組成に比較してこれらの試料はCr,Ni,VとScは低い濃度を持ち,珪長質の岩石に由来すると言える.As,Pb,Zn,Cu,Fe2O3とP2O5はUCC組成よりも高く,古代人の生活の場に関連する.北部のトレンチ(NST-1)はこの地域で最も古い定住地であるが重金属濃度は低い.最も重金属濃度が高いのは東部と西部のトレンチの試料であり,ほとんどの出土品を産出した場所である.グロ-1と呼ぶ層においてリンと亜鉛の最高値が得られた.このような地球化学的データと遺跡の証拠から山崎遺跡においては古代人が3500-3000年前に生活して土器を製造していたと考えられ,ここでは調理や加熱そして土器焼成がなされその結果が土壌の元素分布として記録されている.

収録刊行物

  • 地球科学

    地球科学 66 (5), 163-176, 2012

    地学団体研究会

参考文献 (34)*注記

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