信濃川北岸における更新世末期の武道窪陥没盆地と2004新潟県中越地震

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タイトル別名
  • The Budokubo Collapse Basin on the Latest Pleistocene in relation with the 2004 Mid-Niigata Earthquake, central Japan
  • シナノガワ ホクガン ニ オケル コウシン セイ マッキ ノ ブドウ クボ カンボツ ボンチ ト 2004 ニイガタケン チュウエツ ジシン

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抄録

本研究では,2004新潟県中越地震の震央付近で存在が確認された更新世末期の武道窪陥没盆地の詳細を報告するとともに,形成史に関して検討した。武道窪陥没盆地は,径2×1.5kmの多角形・直線的な境界で周囲の丘陵と接する.この盆地を構成する武道窪層は,広域テフラ(AT)を挟在し,砂,礫,シルトの不規則で不淘汰な互層からなり,ピート層をはさむ停滞水域における堆積物である.盆地縁辺部の武道窪層は不淘汰堆積物から構成され,基盤の新第三系と高角不整合関係で接する.武道窪層堆積直前まで,この地域には信濃川本流が流入し,盆地内に4段の河成段丘面を形成した.信濃川は,武道窪陥没盆地形成直前の断層・隆起運動で盆地域への流入が遮断され,流路を変えた.引き続き発生した陥没盆地の陥没・沈降量は約25mで,これに先行した隆起量はそれ以上であると見積もられる.武道窪陥没盆地の規模と形成過程は,先に報告した田麦山陥没盆地(武道窪陥没盆地の約5km南)とほぼ同一で,その形成時期も一致する.2つの陥没盆地が同時に形成したことは,陥没に先行する隆起運動が両盆地を含むより広い範囲での現象とみなされる.2つの盆地に近接し,更新世末期以後に活発な隆起運動をつづける山本山ブロック,信濃川・魚野川合流部付近の著しい蛇行もこの「隆起域」に含まれる一連の現象と推測される.国土地理院の「新潟県中越地震に伴う三角点の高低変動図」による最大隆起部はほぼ武道窪盆地と重なる.武道窪地域には後期更新世以降の断続的で活発な隆起過程が河成段丘に記録されている.中越地震は,この隆起運動の延長と推測される.

収録刊行物

  • 地球科学

    地球科学 63 (3), 167-181, 2009

    地学団体研究会

参考文献 (20)*注記

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