新潟市角田岬海岸のアメーバ状火山岩塊を含む火道角礫岩

書誌事項

タイトル別名
  • The vent breccia including amoeboid volcanic clasts along the Cape Kakuda shoreline, Niigata City
  • ニイガタシ カクダミサキ カイガン ノ アメーバジョウ カザン ガンカイ オ フクム カドウカクレキガン

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抄録

新潟市南西の角田岬から南西の海岸沿いには,新生代中新世寺泊期の水中火山岩類が分布している.角田岬付近には玄武岩質安山岩のハイアロクラスタイトが分布しており,その中には多起源の礫から成る火山角礫岩が直径30m程度の2つの垂直な円柱を造って含まれている.周辺の火砕岩層の傾斜が20°〜30゜であることから,このような火山角礫岩の分布形態は火道を連想させる.火山角礫岩は径30cm以上の多くの巨礫から構成されており,礫支持である.その中には長径20〜50cmの円礫や亜円礫,大きさ5×2mにも達する赤色スコリアを含む火山礫凝灰岩のブロック,不定形のアメーバ状岩塊などが含まれている.アメーバ状岩塊は安山岩質玄武岩で,大きさはほとんどが30cm以上あり,1mに近いものもある.周囲はガラス質の急冷周縁相で囲まれているが,個々の岩塊は数cm〜5cm程度の角礫状に破砕されている.アメーバ状岩塊が外形を保ちながらも角礫状に破砕されていることは水冷破砕を示唆しており,火道内部が水で満たされていたと推測される.火山角礫岩中にはアメーバ状岩塊と同じ岩質の岩脈が多数貫入しており,アメーバ状岩塊は明らかにこの岩脈に由来している.このように岩脈を形成したマグマの破片と母岩が混合した岩石はペペライトである.円礫の存在は火口が波打ち際に近い浅海にあったことを示唆している.また,火山礫凝灰岩のブロックに含まれる赤色スコリアの存在はこのブロックが陸上に堆積したことを意味しており,火口の一部は陸上にあったことを示している.このような環境にある火口での噴火様式を推測すると,Kokelaar(1983)によって示されたスルツエイ式噴火に類似した水中火山活動であったと結論づけることができる.

収録刊行物

  • 地球科学

    地球科学 69 (6), 325-336, 2015

    地学団体研究会

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