中部日本の盆地,活断層,地殻応力(<特集>内陸盆地の構造と形成プロセス)

書誌事項

タイトル別名
  • Basins, active faults and crustal stress in central Japan(<Special Issue>the deep structure and tectonic processes of inland basins, central Japan)
  • 中部日本の盆地,活断層,地殻応力
  • チュウブ ニホン ノ ボンチ,カツダンソウ,チカク オウリョク

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説明

本州東北部,長野県から青森県には多数の大きな盆地がある.その盆地の西または東,あるいは両方の縁に,逆断層型の活断層がある.このことは,本州東北部の大きな盆地は,東西圧縮の逆断層型の活断層によって形作られたことを意味する.一方,本州西部では,能登半島の付け根付近と近畿三角地帯を除いて大きな盆地と逆断層がない.両地域の境界帯は飛騨山脈の北部から木曽山脈に沿って伸びる.しかし,長野県の盆地の下で発生している小中地震の発震機構解は東西圧縮の横ずれ型を示している.この矛盾する現象の理由は次のように解釈される.逆断層型と横ずれ型の地震が共存していることは,鉛直応力と水平最小圧縮応力の差が,この地域では小さいことを暗示している.さらに小さな地震から推定される応力状態が,現在この地域に存在する応力状態を示している.なぜなら,地殻中には無数の小さな断層があり,応力解放に適した方向の断層のすべりによって応力解放が成されるからである.しかし,地殻応力,即ち弾性歪が広い範囲に蓄積されたときには長い活断層が活性化されるだろう.2011年3月の東北地方太平洋沖地震以降,中小の地震の発震機構解が,複数の地域で応力状態が変化したことを示している.なかでも巨大地震震源域のプレート境界に近い太平洋岸地域では,特に大きな変化が観測された.一方,内陸部では東西の水平最大圧縮応力が保たれている地域もある.内陸の盆地は,南北走向の逆断層型活断層によって長時間かけて形成されたことから考えると,東西の水平最大圧縮応力は,巨大地震直後には乱されても,次第に元にもどると思われる.

収録刊行物

  • 地球科学

    地球科学 69 (1), 3-8, 2015

    地学団体研究会

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