井上眼科病院における小児の非器質性視覚障害

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  • Characteristics of Non-organic Visual Disturbances in Children

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目的:非器質性視覚障害の診断を受けた患児の検査結果から臨床像や特徴について検討すること<BR>対象及び方法:平成18年1月から平成21年12月までの4年間に井上眼科病院を受診し、非器質性視覚障害の診断を受けた小児226例。これらの対象について診療録、及び検査記録から後ろ向き研究を行った。<BR>結果:発症年齢は5~14歳(平均9.3±1.9)で、女児が多く男児の4倍であった(χ²検定 p<0.001)。学校健診にて視力低下を指摘され眼科を受診したものが最も多く134例(59%)であった。診断時の視力は、0.3~0.6の視力低下が多く38%を占めていた。226例中131例(58%)にゴールドマン視野検査を行っており、正常が54%と最も多かった。疾患についての説明や、必要に応じた眼鏡処方により131例(58%)において視力の改善が見られた。改善がみられた症例のうち、47例(36%)に再び視力低下を認めた。視力低下を繰り返す割合は男児21%、女児40%であった。改善に要した期間は平均7.0±6.3ヶ月であり、男児よりも女児において統計上有意(対応のないt-検定 P=0.022<0.05)に長期化する傾向がみられた。<BR>結論:本後ろ向き研究で、非器質性視覚障害は頻度、改善までの期間、再発頻度などにおいて明らかな男女差がみられた。こうした男女差は、眼科臨床のみならず、発達心理学の観点からも今後留意すべき結果である。

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