大きな中心暗点の症例に対するロービジョン訓練の試み

書誌事項

タイトル別名
  • The low vision training for case with large central scotoma

説明

<p>【目的】大きな中心暗点を有するロービジョン患者にとって、周辺に残された視野の活用は非常に難しい。今回、偏心視の訓練と色の判別の工夫で、QOLを高めることができた症例を経験したので報告する。</p><p>【症例】27歳男性。錐体杆体ジストロフィーで身体障害者手帳2級を取得。RV=20cm 指数弁(矯正不能)、LV=(0.01)。視野は、両眼とも30~50度の中心暗点。</p><p>【方法】ロービジョン外来にて、有効視野の理解と偏心視獲得のための眼球運動訓練を指導し、家庭訓練を行った。同時に本人にあったオリジナルの色カードを作成し、誤認しやすい色を判別する方法を指導した。初診時より2ヵ月ごとに約15ヶ月間ロービジョン外来を受診し、訓練効果の確認と指導を行った。</p><p>【結果】訓練前は右眼の耳側視野のみを用いて見ていたが、患者本人が視野を理解し、意欲的に訓練することで、十分活用できていなかった視野を意識化し、左眼の耳側視野も使えるようになった。右眼から左眼への固視交代もスムーズにできるようになり、拡大読書器を用いての読み効率がよくなった。また、錐体の障害のため、色の判別は難しいが、配列を工夫した色カードを作成することにより、誤認しやすかった色も判別しやすくなった。</p><p>【結論】重篤な症例であっても、有効視野の意識化と偏心視訓練、色カードによる訓練などにより、視覚を用いた日常生活の改善の可能性が示唆された。</p>

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参考文献 (1)*注記

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