繰り返し栽培した軽石培地におけるトマト青枯病の発病抑制メカニズム

  • 松岡 智生
    東京農工大学大学院生物システム応用科学研究科:(現)渋谷工業
  • 豊田 剛己
    東京農工大学大学院生物システム応用科学研究科
  • 佐藤 一朗
    東京農工大学大学院生物システム応用科学研究科:(現)日本大学生物資源科学部
  • 増田 和成
    荏原製作所エンジニアリング事業本部
  • 黒田 哲生
    荏原製作所エンジニアリング事業本部

書誌事項

タイトル別名
  • Suppressive mechanisms of bacterial wilt in tomato plants grown in repeatedly used pumice
  • クリカエシ サイバイ シタ カルイシバイチ ニ オケル トマト アオガレビョウ ノ ハツビョウ ヨクセイ メカニズム

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抄録

本研究ではサラダナを繰り返し連作栽培した軽石培地(連作軽石)のトマト青枯病抑制に関与する微生物を特定した。基質誘導呼吸阻害法によって連作軽石の優占微生物群集は細菌であると推察された。連作軽石で栽培したトマト根から細菌を50株分離し,1次スクリーニングによって根分泌液中における青枯病菌の増殖を抑制する5株を選抜した。次に,2次スクリーングによって未使用軽石培地におけるトマト青枯病防除効果を評価したところ,1株(W3株)が防除効果を示した。16S rDNA配列からW3株はBurkholderia属に近縁と類推された。W3株をオートクレープ処理した連作軽石に接種すると,未処理連作軽石と同様に高いトマト青枯病防除効果を示したことから,連作軽石のトマト青枯病防除効果にW3株が関与している可能性が推察された。W3株を未使用軽石に接種した場合の青枯病抑制効果は連作軽石のそれと比べると低かったが,グルコースを添加することで同程度となった。PCR-DGGE法によって未使用の軽石と連作軽石で栽培したトマト根における細菌群集構造を比較したところ,両者のバンドパターンに違いが認められた。また,連作軽石でW3株由来のバンドが確認され,未使用軽石で確認されなかったことは,W3株が連作軽石のトマト青枯病抑制に関与する可能性を支持した。

収録刊行物

  • 土と微生物

    土と微生物 59 (1), 15-20, 2005

    日本土壌微生物学会

被引用文献 (4)*注記

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参考文献 (12)*注記

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