イオンビームを用いた微生物育種による新規有用形質の獲得(<特集>遺伝資源としての土壌微生物研究法の新展開)

  • 手島 光平
    (独)日本原子力研究開発機構量子ビーム応用研究部門量子生命・バイオ技術研究ユニット遺伝子資源研究グループ
  • 佐藤 勝也
    (独)日本原子力研究開発機構量子ビーム応用研究部門量子生命・バイオ技術研究ユニット遺伝子資源研究グループ
  • 鳴海 一成
    (独)日本原子力研究開発機構量子ビーム応用研究部門量子生命・バイオ技術研究ユニット遺伝子資源研究グループ

書誌事項

タイトル別名
  • Acquisition of new useful characteristics by microbial breeding using ion beams(<Feature>New direction of research use for soil microorganisms as genetic resources)
  • イオンビームを用いた微生物育種による新規有用形質の獲得
  • イオンビーム オ モチイタ ビセイブツイクシュ ニ ヨル シンキ ユウヨウ ケイシツ ノ カクトク

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抄録

突然変異育種は,生物資源の拡大の基礎をなすものであり,原子力機構では,イオンビーム照射研究施設TIARAのサイクロトロンを用いて,イオンビームを用いた突然変異育種の研究に取り組んできた。本解説では,イオンビームを用いた植物の突然変異育種と微生物育種への応用の現状を概説する。原子力機構では,植物へのイオンビーム照射とその効果についての研究を通じて,イオンビームで誘発される突然変異は,変異の誘発率が高く,変異のスペクトルが広く,目的外の付随変異が少ないという特長を見出し,世界で初めてイオンビーム育種技術を確立した。イオンビームの生物に対する作用機序からすると,イオンビームは産業に有用な微生物の品種改良にも適用できる。近年,麹菌や酵母などで,イオンビームを用いた有用突然変異株作出についての成果が出ており,イオンビーム照射が産業微生物の品種改良にも有効であることが実証されつつある。イオンビームを用いた微生物の突然変異誘発技術は,基礎科学研究と応用研究の両面に有用なツールである。

収録刊行物

  • 土と微生物

    土と微生物 65 (1), 78-82, 2011

    日本土壌微生物学会

参考文献 (29)*注記

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