Rhizoctonia solani AG2-2菌体の繰り返し接種によって誘導された抑止土壌の微生物的特性

  • 佐山 充
    農林水産省北海道農業試験場畑作研究センター:(現)農林水産省国際農林水産業研究センター
  • 本間 善久
    農林水産省北海道農業試験場畑作研究センター
  • 古屋 廣光
    秋田県立大学生物資源科学部
  • 竹中 重仁
    農林水産省北海道農業試験場畑作研究センター

書誌事項

タイトル別名
  • Some microbial properties of suppressive soil induced by successive inoculations of Rhizoctonia solani anastomosis group 2-2
  • Rhizoctonia solani AG2 2 キンタイ ノ クリカエシ セッシュ ニ ヨッテ ユウドウ サレタ ヨクシ ドジョウ ノ ビセイブツテキ トクセイ

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抄録

Rhizoctonia solaniの2群2型の培養型IVおよび4群菌株の菌体の繰り返し接種により,苗立枯病に対する土壌の抑止性を誘導した。抑止性は,テンサイ栽培の有無に関わらず,菌体接種のみによっても生じ,死菌体によっては生じなかった。繰り返し接種による土壌中の糸状菌,細菌,放線菌,Trichoderma属菌数の変動はわずかであった。しかし,同時に測定したソイルペレット法による土壌塊からのRhizoctonia菌糸の出現率は減少した。繰り返し接種土壌中におけるR. solaniの菌糸生育は耕地土壌中に比べて劣り,接種5日目で約1/2となり,明らかに菌糸生育が抑制された。繰り返し接種土壌の抑止性は,培養することにより高まることから,生物的因子であることが示唆された。抑止性は,55℃の通気蒸気処理によってほぼ消失したことから,耐熱性の細菌の関与の可能性は低いものと考えられた。また,抑止性のべノミルに対する感受性は低く,Trichoderma属菌,Gliocladium属菌,Verticillium属菌などは同剤に感受性が高かった。これらのことから,本実験に用いられた繰り返し接種土壌の主な抑止要因は,ベノミルに非感受性で熱感受性であり,R. solaniに対する抑止土壌の抑止要因としてはこれまでに知られていない微生物である可能性が示唆された。

収録刊行物

  • 土と微生物

    土と微生物 55 (1), 37-44, 2001

    日本土壌微生物学会

被引用文献 (1)*注記

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参考文献 (19)*注記

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