花泉層-東北日本における氷期哺乳動物化石堆積物の時代について

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書誌事項

タイトル別名
  • ON THE GEOLOGICAL AGE OF THE HANAIZUMI BED, MAMMALIAN DEPOSITS OF THE GLACIAL AGE, NORTH-EAST JAPAN

抄録

ここで報告することは,1958年11月に,岩手県西磐井郡花泉町金森において,関東ローム研究会および信州ローム研究会がおこなった発掘および調査の結果にもとずくものである.ここで問題とした花泉層は,哺乳動物化石,Megaceros, Bisonなどを豊富にふくむ段丘堆積物であり,その地質時代について,松本彦七郎により鮮新世末期とされていた.われわれは,この地層を,地形発達史,層位学,古生物学,古気候学,堆積論考古学などの諸分野から綜合的に判断して,洪積世後期,ウルム氷期のものと考える.この見解は,C14法による年代測定結果からも支持され,ほぼウルムII期にあたると思われる.したがって,花泉動物群は,本邦でいえば,中部地方の吐中層のもの,また,大陸の洪積世後期の動物群,たとえば,内蒙古のSjara-Osso-Gol動物群や,満州の顧郷屯動物群に密接な関係をもつものであろう.このことは,湊正雄・井尻正二によって提唱された作業仮説,"日本列島周縁の大陸棚や海峡のあるものは,洪積世を通じて形成された",を支持するものであり,日本列島とアジア大陸とが洪積世末期まで連絡していたことを暗示するものである.

収録刊行物

  • 地球科学

    地球科学 1961 (53), 28-31, 1961

    地学団体研究会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001204266680320
  • NII論文ID
    110007156976
  • DOI
    10.15080/agcjchikyukagaku.1961.53_28
  • ISSN
    21897212
    03666611
  • 本文言語コード
    en
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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