西南日本の舞鶴層群の地球化学的検討 : とくに中/上部ペルム系境界における組成変化について

書誌事項

タイトル別名
  • Geochemistry of Maizuru Group, Southwest Japan : Compositional changes across the Middle-Upper Permian boundary
  • Geochemistry of Maizuru Gruop,Southwest Japan:Compositional changes across the Middle-Upper Permian boundary
  • Geochemistry of Maizuru Gruop Southwest

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説明

西南日本の舞鶴帯は細長い堆積盆地を形成しており,厚い黒色泥岩の堆積が行われた.本論では中・上部ペルム系の境界を挟んでの地球化学的特徴の変化を検討した.舞鶴層群の泥岩の地球化学的検討からそのprovenanceは成熟した島弧や大陸縁辺が予想される.舞鶴層群は一般にPAAS(post-Archean Australian shales)と類似の組成を示す.そして,アルカリ元素の中ではKやRbに比べてNaやCsに富んでいる.希土類については一般的にEuの負異常が見られ,軽希土類よりも重希土類の濃集がみられる.有機炭素濃度は1%以下で低いが,C/N比やN/P比は海棲生物のそれを代表するレッドフイールド比と類似する.有機炭素量やその他の元素についての明瞭な変化が中・上部ペルム系境界の下位の層準でみとめられる.ここでは,イオウの濃集,有機炭素,窒素の減少,Th/U比,V/(V+Ni)比の減少,As, Sbの濃集がともなわれる.また,この層準において,Naが濃集し,Euは他の層準に比べより明瞭な負異常を示すとともに,Cs, Rb, Kなどは減少する.中/上部境界の下位におけるこのような変化は,火山活動にともなう過剰の栄養塩の供給による基礎生産の高まりが起こったと予想される.そして,有機物の分解によって堆積盆地が還元的環境へ変化し,引き続いて放散虫生産量の衰退が生じたと考えられる.

収録刊行物

  • 地球科学

    地球科学 50 (2), 125-137, 1996

    地学団体研究会

被引用文献 (1)*注記

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参考文献 (42)*注記

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