『GPCRの構造変化をFRETにより捉える』 FRETによるGタンパク質共役型受容体活性化過程の可視化

  • 立山 充博
    自然科学研究機構 生理学研究所 神経機能素子研究部門
  • 久保 義弘
    自然科学研究機構 生理学研究所 神経機能素子研究部門

書誌事項

タイトル別名
  • FRET analysis of the activation of GPCR
  • 実験技術 GPCRの構造変化をFRETにより捉える : FRETによるGタンパク質共役型受容体活性化過程の可視化
  • ジッケン ギジュツ GPCR ノ コウゾウ ヘンカ オ FRET ニ ヨリ トラエル : FRET ニ ヨル Gタンパクシツ キョウヤクガタ ジュヨウタイ カッセイカ カテイ ノ カシカ

この論文をさがす

抄録

Gタンパク質共役型受容体(GPCR)は細胞間情報伝達における主要なシグナリング分子である.GPCRの三次元構造の詳細はこれまで不明であったが,近年,X線結晶構造解析により複数の機能的状態に対応するβアドレナリン受容体の構造が解かれた.一方,GPCRが各構造を遷移する過程,すなわち活性化や脱活性化は,蛍光タンパク質を付加した受容体の蛍光共鳴エネルギー移動(Förster/fluorescence resonance energy transfer:FRET)の効率を計測することにより捉えることが可能となっている.例えば,family A GPCRでは,細胞内第3ループとC末端に蛍光物質を付加したFRETコンストラクトがアゴニスト投与によりFRET効率の減少を示すことが多くの受容体で報告されている.また,GPCRの多くは多量体化することが知られているが,アゴニスト結合がGPCRの多量体形成に与える影響についても,分子間距離の変化を高感度に検出できるFRET計測により解析可能である.さらに,我々は,Gタンパク質活性化機能を有するFRETコンストラクトを用いてGタンパク質によるGPCR活性化構造の安定化作用を示し,また,蛍光タンパク質を付加する部位を工夫することでfamily C GPCRの活性化様式がfamily A GPCRとは大きく異なることを示した.これらの研究を中心に,FRET効率の計測から受容体の状態を捉えることのメリットやその応用などについて紹介したい.

収録刊行物

  • 日本薬理学雑誌

    日本薬理学雑誌 143 (5), 249-253, 2014

    公益社団法人 日本薬理学会

参考文献 (25)*注記

もっと見る

関連プロジェクト

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ