心不全の病態形成因子と治療標的としての心筋小胞体Ca<sup>2+</sup>-ATPase,SERCA2

  • 新井 昌史
    群馬大学大学院 医学系研究科 臓器病態内科学

書誌事項

タイトル別名
  • SERCA2 as a cause and therapeutic target of heart failure
  • シンフゼン ノ ビョウタイ ケイセイ インシ ト チリョウ ヒョウテキ ト シテ ノ シンキン ショウホウタイ Ca ² ⁺-ATPase,SERCA2

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説明

心臓はCa2+によって機能が調節されて動く器官である.Ca2+輸送には多数のタンパク質が寄与しているが,その要になる分子は心筋小胞体Ca2+-ATPase(SERCA2)である.心不全では,SERCA2の遺伝子発現やタンパク質機能が低下する.我々は,実験的心不全モデルにSERCA2遺伝子導入することにより,心臓リモデリングの抑制,心機能の改善,生命予後の改善することを明らかにした.また,興味深いことに心不全で低下するミトコンドリア遺伝子など他の遺伝子に対しても,SERCA2遺伝子導入は改善効果を示した.さらに,ミトコンドリア遺伝子の転写因子TfamならびにTfb2mがSERCA2の遺伝子転写を制御していることも明らかにした.心不全では,さまざまな分子ネットワークに破綻を来すが,SERCA2はその破綻を改善させる重要な鍵になるタンパク質と考えられる.

収録刊行物

  • 日本薬理学雑誌

    日本薬理学雑誌 140 (6), 259-264, 2012

    公益社団法人 日本薬理学会

参考文献 (23)*注記

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