新規不眠症治療薬,スボレキサント(ベルソムラ錠<sup>®</sup>15 mg,20 mg)の薬理学的特徴及びその臨床試験成績
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- 田中 祥貴
- MSD株式会社 グローバル研究開発本部
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- 青木 郁夫
- MSD株式会社 グローバル研究開発本部
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- 石根 貴章
- MSD株式会社 グローバル研究開発本部
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- John J. Renger
- Merck Research Laboratories
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- Christopher J. Winrow
- Merck Research Laboratories
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- 久田 智
- MSD株式会社 グローバル研究開発本部
書誌事項
- タイトル別名
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- Preclinical and clinical results of dual orexin receptor antagonist, suvorexant (BELSOMRA<sup>®</sup>), a novel therapeutic agent for insomnia
- 新薬紹介総説 新規不眠症治療薬,スボレキサント(ベルソムラ錠15mg,20mg)の薬理学的特徴及びその臨床試験成績
- シンヤク ショウカイ ソウセツ シンキ フミンショウ チリョウヤク,スボレキサント(ベルソムラジョウ 15mg,20mg)ノ ヤクリガクテキ トクチョウ オヨビ ソノ リンショウ シケン セイセキ
- Preclinical and clinical results of dual orexin receptor antagonist, suvorexant (BELSOMRA(®)), a novel therapeutic agent for insomnia
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説明
<p>オレキシンは視床下部外側部の神経細胞で産生されるニューロペプチドで,動物の覚醒状態維持に重要な働きをしている.スボレキサントはヒトのオレキシン受容体(OX1R及びOX2R)に対する強力で選択性の高いアンタゴニストで,不眠症の経口治療薬として開発された.スボレキサントのヒトOX1R及びOX2Rに対する結合親和性は高かった(Ki値はそれぞれの受容体で0.55 nM及び0.35 nM).各種動物(マウス,ラット,ウサギ,イヌ及びアカゲザル)のOX1R及びOX2Rに対してもヒトと同程度の結合親和性を示した.ラットにスボレキサントの10,30及び100 mg/kgを投与すると,用量依存的に覚醒が減少し,同時にデルタ睡眠とレム睡眠が増加した.同様な覚醒の減少とノンレム睡眠及びレム睡眠の増加は,イヌにスボレキサントを1及び3 mg/kg経口投与したとき,及びサルにスボレキサントの10 mg/kgを経口投与したときにも認められた.臨床薬理試験の結果から,スボレキサント40 mgを非日本人健康非高齢被験者に単回経口投与した際のTmaxは約2時間で,終末相半減期は12.2時間であった.また,1日1回反復投与した際,投与3日目までに定常状態に達し,AUC及びCmaxの累積係数の推定値は1.2~1.6であった.スボレキサントを空腹時単回投与した際の薬物動態は,日本人健康男性被験者と非日本人健康男性被験者で大きな差はみられなかった.また,後期第Ⅱ相及び第Ⅲ相試験での不眠症患者の薬物動態より,非高齢者にスボレキサント20 mgを投与した際のAUC0-24h及びCmaxは,高齢者にスボレキサント15 mgを投与した際と同程度であった.臨床試験の結果から,スボレキサントは睡眠維持及び入眠のいずれの症状改善にも効果を有し,長期間投与で薬剤耐性もみられない.また,おおむね良好な忍容性が認められ,翌日への持越し効果も許容可能な程度であり,臨床上懸念される,投与中止による退薬症候や反跳性不眠は認められない.したがって,本剤は,不眠症の新たな治療選択肢の一つとなると考える.</p>
収録刊行物
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- 日本薬理学雑誌
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日本薬理学雑誌 148 (1), 46-56, 2016
公益社団法人 日本薬理学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390001204274805376
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- NII論文ID
- 130005164788
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- NII書誌ID
- AN00198335
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- ISSN
- 13478397
- 00155691
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- NDL書誌ID
- 027513271
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- PubMed
- 27430679
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- 本文言語コード
- ja
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- 資料種別
- journal article
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- データソース種別
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- JaLC
- NDLサーチ
- Crossref
- PubMed
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可