トロンボキサンA2受容体の二量体形成および受容体会合タンパク質による活性制御

  • 中畑 則道
    東北大学 大学院薬学研究科 細胞情報薬学分野

書誌事項

タイトル別名
  • The regulation of thromboxane A2-receptor function by dimerization and receptor-associated protein
  • トロンボキサン A2 ジュヨウタイ ノ 2リョウタイ ケイセイ オヨビ ジュヨウタイ カイゴウ タンパクシツ ニ ヨル カッセイ セイギョ
  • The regulation of thromboxane A2—receptor function by dimerization and receptor-associated protein

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説明

Gタンパク質共役型受容体は二量体化することや受容体会合タンパク質によってその活性が制御されるが,本稿では,トロンボキサンA2受容体(TP)の二量体化およびC末会合タンパク質による受容体機能の制御について解説する.TPにはTPαとTPβの2つのスプライシングバリアントが存在し,それらはホモおよびヘテロの二量体を形成した.TPαは比較的細胞膜に分布しやすいのに対してTPβは細胞内に留まりやすいが,これはTPβがプロテアソーム関連タンパク質と会合しやすく分解されやすいためと考えられる.一方,TPαとTPβのヘテロ二量体はTPαに比べて細胞膜に移行しづらく,TPβに比べると移行しやすい.すなわち,TPβはヘテロ二量体を形成することによってTPαの細胞膜移行を負に制御しているものと考えられる.一方,TPの細胞内C末端への会合タンパク質として新規タンパク質のKIAA1005が見出された.KIAA1005は細胞内でTPαおよびTPβと会合しており,そのmRNAの発現は全身に普遍的であり,特に胸腺で高かった.また,TPアゴニストのU46619によるextracellular signal-regulated kinase(ERK)1/2のリン酸化はKIAA1005の過剰発現により抑制された.さらに,TP刺激によるPI水解反応もKIAA1005の過剰発現により抑制されたが,M3ムスカリン受容体刺激による反応は抑制を受けなかった.加えて,KIAA1005によるTPシグナルの抑制作用の一部には,細胞膜TPの受容体数の減弱が考えられた.以上のように,TPの二量体形成やTP会合タンパク質KIAA1005により,TPを介するシグナル伝達が制御されることが示唆された.<br>

収録刊行物

  • 日本薬理学雑誌

    日本薬理学雑誌 134 (5), 259-263, 2009

    公益社団法人 日本薬理学会

参考文献 (37)*注記

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