活性イオウ分子種によるタンパク質チオール修飾:ポリスルフィド化タンパク質解析の最先端技法

DOI Web Site Web Site PubMed 参考文献9件 オープンアクセス
  • 笠松 真吾
    東北大学大学院 医学系研究科 環境保健医学分野
  • 藤井 重元
    東北大学大学院 医学系研究科 環境保健医学分野
  • 赤池 孝章
    東北大学大学院 医学系研究科 環境保健医学分野

書誌事項

タイトル別名
  • Reactive sulfur species-modified protein thiols: new methods for polysulfurated protein analysis
  • 実験技術 活性イオウ分子種によるタンパク質チオール修飾 : ポリスルフィド化タンパク質解析の最先端技法
  • ジッケン ギジュツ カッセイ イオウ ブンシシュ ニ ヨル タンパクシツ チオール シュウショク : ポリスルフィドカ タンパクシツ カイセキ ノ サイセンタン ギホウ

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抄録

システインパースルフィドなどの活性イオウ分子種は,チオール基に過剰にイオウ原子が付加したポリスルフィド構造を有する化合物であり,通常のチオール化合物に比べ,高い求核性と抗酸化活性を有している.近年,ポリスルフィドは,システインやグルタチオンなどの低分子チオール化合物だけでなく,タンパク質中のシステイン残基にも多く存在し,細胞内の様々なタンパク質がポリスルフィド化されていることが明らかになってきた.タンパク質中のシステインチオール基は,活性酸素や親電子物質によりもたらされる酸化ストレスのセンサーとして重要な役割を果たしていることが知られており,ポリスルフィド化はタンパク質機能制御を介したレドックスシグナル伝達メカニズムとして,細胞機能制御に関与することが予想される.しかしながら,複雑な化学特性を有するポリスルフィドは検出が難しいことから,生体内におけるタンパク質ポリスルフィド化の分子メカニズムやその生理機能は不明な点が多く残っており,特異的で高感度,かつ簡便なポリスルフィド化タンパク質検出方法の開発が求められている.タンパク質ポリスルフィド化の検出に関してはこれまで様々な問題点があり研究進展の妨げになっていたが,最近,信頼性のあるポリスルフィド化タンパク質の解析方法が報告され,様々なタンパク質が内因的にポリスルフィド化していることや複雑なポリスルフィドの構造と化学特性などが徐々に明らかになってきている.検出におけるいくつかの問題点は残されているものの,プロテオミクス研究への応用も期待されている.今後さらに,タンパク質ポリスルフィドのユニークな構造と化学特性に基づく特異的で高感度な検出方法の開発を進めることにより,タンパク質ポリスルフィドの生物学的意義の解明が大きく進展するものと考えられる.

収録刊行物

  • 日本薬理学雑誌

    日本薬理学雑誌 147 (5), 299-302, 2016

    公益社団法人 日本薬理学会

参考文献 (9)*注記

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