Heart repair using direct cardiac reprogramming

  • Osakabe Rina
    慶應義塾大学 薬学部 薬学教育研究センター 慶應義塾大学 医学部 循環器内科
  • Suzuki Takeshi
    慶應義塾大学 薬学部 薬学教育研究センター
  • Ieda Masaki
    慶應義塾大学 医学部 循環器内科

Bibliographic Information

Other Title
  • 心臓再生(心筋ダイレクトリプログラミング)
  • シンゾウ サイセイ(シンキン ダイレクトリプログラミング)

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Abstract

<p>日本人における心疾患での死亡者数は年々増加傾向にある.平成26年の人口動態統計では心疾患の死因別死亡率は15.5%を占め,悪性新生物に続き2位である.さらに心疾患死亡率のうち急性心筋梗塞による死亡率は19.8%を占めている.急性期を脱しても,心筋梗塞発症により虚血状態が続いた心筋細胞は不可逆的な障害を受け,収縮能を持たない線維芽細胞に置き換わる.すると心臓のポンプ機能は失われ,病態は慢性心不全へと移行する.現在,心不全治療には降圧薬,利尿薬,強心薬を段階的に用いる薬物療法や,ペースメーカーの植込みといった非薬物療法が存在するが,これらの治療に抵抗性を示した場合,最終的には心臓移植が適応となる.しかし,心臓移植には提供されるドナー心臓数の限界,移植手術時の免疫学的拒絶反応,一生涯にわたる免疫抑制剤の服用などの問題が存在する.以上のように現在の医療では治療に限界があり,新たな治療法が待ち望まれている.近年ではiPS細胞などの幹細胞移植による心臓再生に期待が寄せられているが,この方法には幹細胞混入による腫瘍形成の可能性,移植細胞の長期生着などの課題がある.そこで近年,心臓線維芽細胞への適切な因子の導入により心臓内で直接心筋細胞を誘導する「ダイレクトリプログラミング」という新たな心臓再生医療が大きな注目を集めている.線維芽細胞をはじめとした非心筋細胞は心臓を構成する細胞の50%以上を占めており,病態下ではさらに増殖する.したがって,心臓線維芽細胞を生体内で直接心筋細胞へ誘導することができれば,心臓に元来数多く存在する線維芽細胞をセルソースとして活用できる.この手法が臨床応用されれば,幹細胞移植の抱える課題の克服,簡便な低侵襲的治療のみでの心不全治療が実現できる可能性があるため,世界中の研究グループによって臨床応用に向けた研究が盛んに行われている.</p>

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