リファキシミン(リフキシマ<sup>®</sup>錠200 mg)の薬理学的特性及び臨床試験成績

  • 玉置 賢
    あすか製薬株式会社 創薬研究本部 薬理研究部
  • 佐藤 郁也
    あすか製薬株式会社 開発本部 MSLチーム

書誌事項

タイトル別名
  • Pharmacological properties and clinical findings of rifaximin (RIFXIMA<sup>®</sup> TABLETS 200 mg)

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説明

<p>リファキシミン(製品名:リフキシマ®錠)は,イタリアAlfa Wassermann社が開発したリファマイシン系抗菌薬で,好気性及び嫌気性のグラム陽性菌並びにグラム陰性菌に対し広い抗菌スペクトルを有し,その作用様式は殺菌的であることが確認されている.リファキシミンの作用機序は,リファマイシン系の他の薬剤と同様に,細菌のDNA依存性RNAポリメラーゼ酵素のβサブユニットに結合することによってRNAの合成を阻害すると考えられる.また,リファキシミンは経口投与してもほとんど吸収されず,消化管内でのみ作用することが特徴とされる.ラット肝性脳症モデルを用いた検討において,リファキシミンは腸間膜静脈血中アンモニア濃度を低下させ,肝性脳症モデル動物で誘発される昏睡の発症を抑制することが確認された.リファキシミンは肝性脳症の主要な病因とされるアンモニア産生を減少させていると考えられ,実際に多くのアンモニア産生菌に対するリファキシミンの抗菌活性がin vitroで示されている.国内第Ⅰ相試験では,日本人健康成人男性での忍容性,安全性が確認され,外国人と薬物動態が類似していることが確認された.また,国内第Ⅱ/Ⅲ相実薬対照並行群間比較試験では,日本人肝性脳症患者にリファキシミン1200 mg(400 mgを1日3回)を14日間経口投与し,リファキシミンは対照薬であるラクチトールと同様に血中アンモニア濃度を低下させ,肝性脳症昏睡度(犬山シンポジウム昏睡度分類)及びPSE(portal-systemic encephalopathy)指数(肝性脳症昏睡度,血中アンモニア濃度及び羽ばたき振戦などをスコア化し一元化)を改善することが確認された.さらに,国内第Ⅱ/Ⅲ相試験を完了した患者を対象にリファキシミンの投与を10週間継続する国内第Ⅲ相試験を実施し,最大12週間投与における忍容性に問題のないことが確認された.難吸収性抗菌薬リファキシミンは肝性脳症患者で有効性及び安全性が確認され,本邦における新たな選択肢となった.</p>

収録刊行物

  • 日本薬理学雑誌

    日本薬理学雑誌 149 (6), 288-295, 2017

    公益社団法人 日本薬理学会

参考文献 (17)*注記

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