敗血症性心筋症の病態形成機構の解明と新たな治療への応用

  • 鈴木 登紀子
    富山大学大学院 医学薬学研究部(医学)分子医科薬理学講座
  • 酒井 麻里
    富山大学大学院 医学薬学研究部(医学)分子医科薬理学講座
  • 山下 重幸
    富山大学大学院 医学薬学研究部(医学)分子医科薬理学講座
  • 冨田 賢吾
    富山大学大学院 医学薬学研究部(医学)分子医科薬理学講座
  • 服部 裕一
    富山大学大学院 医学薬学研究部(医学)分子医科薬理学講座

書誌事項

タイトル別名
  • Septic cardiomyopathy: pathophysiology and potential new therapeutic approaches
  • ハイケツショウセイ シンキンショウ ノ ビョウタイ ケイセイ キコウ ノ カイメイ ト アラタ ナ チリョウ エ ノ オウヨウ

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抄録

<p>敗血症は,高齢者人口の増加,悪性腫瘍や移植時の化学療法などによる免疫機能の低下,多剤耐性菌の出現などにより,症例数は増加の一途をたどり,現在においてもなお高い死亡率を有している.敗血症の定義は,これまで「感染によって引き起こされた全身性炎症反応症候群」とされてきたが,2016年になって「感染に対する制御不能な宿主反応による生命に関わる臓器不全」として15年ぶりに改訂された.新しい定義における「臓器不全」には,急性肺傷害,播種性血管内凝固,脳症,肝障害,腎障害に加えて,心機能障害も含まれている.心機能障害により酸素の需要・供給のバランスが損なわれ,多臓器不全の進展につながることから,心機能障害の有無は,敗血症の予後に非常に重要である.実際,敗血症患者で心機能障害が存在した場合は,非常に高い死亡率に関係すると報告されている.国際敗血症ガイドラインで,敗血症性ショックにおいて推奨されている強心薬はドブタミンであるが,その臨床成績には限界が指摘されている.本稿では,敗血症性心機能障害について,これまで報告されてきた病態生理学的メカニズムについて概説し,ドブタミンに替わる新たな強心薬の治療効果の可能性について考察する.</p>

収録刊行物

  • 日本薬理学雑誌

    日本薬理学雑誌 151 (3), 111-116, 2018

    公益社団法人 日本薬理学会

参考文献 (47)*注記

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