除草剤ベンチオカーブに関する研究 : 第3報 陸稲におよぼすベンチオカーブの形態ならびに組織的影響

書誌事項

タイトル別名
  • Studies on a Herbicide, Benthiocarb : III. Morphological and Histological Effects of Benthiocarb on Upland Rice
  • 除草剤ベンチオカーブに関する研究-3-陸稲におよぼすベンチオカーブの形態的ならびに組織的影響〔英文〕
  • ジョソウザイ ベンチオカーブ ニカンスルケンキュウ 3 リクトウ ニ オヨボス

この論文をさがす

抄録

除草剤ベンチオカーブが陸稲におよぼす形態的,組織的な影響を調べた. 結果の概要は以下の通りである. 1. 発芽後処理の場合,本実験で最も高濃度である10kg/haの濃度でも,陸稲にたいしてなんらの障害をあたえない. 2. 発芽前処理の場合,発芽自体には影響ないが,その後の生育に種々の影響が現われる. 多くのものは生育を続げるが,一部のものは21日以内に枯死する. 3. 生育を続けた植物体では,葉色が濃緑色となり,先端から次第に枯死したり,葉に波状や,やや内側に巻きこみながら上方が弯曲したり,ねじれ,よじれ,強い巻きこみなどがみられ,全体に葉数や茎数が多少増加する. ときに生育が抑制されることがある. 4. 生育を停止した幼植物の組織的観察の結果によると,茎頂が著しく長さを増す,茎頂の外鞘部に並側分裂が多発するが葉始原体としての体制をとらず,結果的に巨大な茎頂となる,葉周縁基部の抱合の仕方に異常がおこる,葉周縁の抱合が密になり,ときに截形で両端が抱合せず対面したり,融合して筒状葉を形成する,葉始原体の細胞が著しく液胞化し,ときに壊死する,葉の伸長生長を抑え,維管束の分化を促進する,などの現象が認められた. 5. 陸稲におよぼすベンチオカーブの形態的,組織的影響は植物ホルモンやホルモン系除草剤の影響に酷似しており,ベンチオカーブは非ホルモン系除草剤であるが,植物体内において,それ自体または他の物質に変化して植物ホルモン的作用を現わすのではないかと考えられる.

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ