ホルクハイマーと「市民文化」の問題

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  • ホルクハイマー ト シミン ブンカ ノ モンダイ

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抄録

近年、ファシズム研究への関心が高まっている。その過程で問われ続けているのは、ファシズムが、「過去の」、「病理現象」なのではなく、近代社会の問題性を集中的に表現しているのではないか、ということである。<BR>この問題を、三〇年代のホルクハイマーの社会理論の中で考察したのが本稿である。ホルクハイマーのファシズム理解の基本的視座は、市民社会の一定の転化形態としてのファシズム、ということである。ホルクハイマーの市民社会論は、権威論として構成された市場-市民文化-市民的家族のトリアーデ論である。そこで、ホルクハイマーの市民社会論を、その各契機について内在的に検討することが、本稿の内容の中心をなす。<BR>ホルクハイマーは、ファシズムを、人間が自己意識にまで成長した近代市民文化の孕まざる得ない矛盾と捉えている。その市民社会論の経験的妥当性と共に、ホルクハイマーの問題提起は、多くの議論を必要とする内実を持っている。そのための前提である理論内容の解明こそ、本稿のめざすところのものである。

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