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- 熊本 博之
- 明星大学人文学部人間社会学科
書誌事項
- タイトル別名
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- What Does Politics Bring to Okinawa?
- 普天間基地移設問題を事例に
- A Case Study on the Futenma Air Station Relocation Issue
説明
<p>本稿の目的は, 普天間基地移設問題を事例に, 米軍基地をめぐる政治が沖縄に何をもたらしてきたのか明らかにすることである. 補完性原理を理念的背景にもつ地方自治法第1条の2が定めている国家存立事務には, 外交や防衛が含まれている. それを根拠に, 政府は, 沖縄県の強い反対があるにもかかわらず, 名護市辺野古区への普天間代替施設の建設を進めている.</p><p>そして辺野古区は, 条件つきで普天間代替施設の建設を容認している. 米軍基地と深い関係をもっている辺野古区は, 米軍基地への反対を主張しづらい地域である. それに加えて, 沖縄県が米軍基地についての決定権をもっていないため, 反対しても建設を止められる保証はない. だから辺野古区は, 条件つきで受け入れを容認し, 政府との交渉を進めているのである. こうした辺野古区の行動は, 沖縄県が米軍基地に対する決定権をもっていない以上, 沖縄がおかれている状況を集約したものであるといえよう.</p><p>このような政治的環境のもと, 沖縄の人たちが米軍基地問題をどのように経験しているのか描き出していくこと, そして政治が沖縄社会にもたらしているものの意味を捉え, そこから政治がもつ問題性を析出することが, 社会学には求められている.</p>
収録刊行物
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- 社会学評論
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社会学評論 67 (4), 432-447, 2016
日本社会学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390001204294699136
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- NII論文ID
- 130006594292
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- ISSN
- 18842755
- 00215414
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- Crossref
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可