油溶性甘草エキスによるメラニン産生抑制効果 in vitroおよびin vivoにおける検討

  • 原本 泉
    聖マリアンナ医科大学皮膚科学教室

書誌事項

タイトル別名
  • Melanin production inhibitory effect of lipophilic glycyrrhiza extracts.In vitro and in vivo study.
  • [Clinical evaluation of the cream formulated oil-soluble licorice extracts for the patients of melasma]
  • —<I>in vitro</I>および<I>in vivo</I>における検討—

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説明

多種のフラボノイドを含む油溶性甘草エキス(LE)がチロジナーゼ活性を抑制することが認められ, メラニン産生の抑制効果がすでに確認されている。今回吸光度法と14C-thiourasil uptakeによるmelanization assayを行ってLE中に約10%含まれるグラブリジンがLEおよび他のフラボノイドより抗チロジナーゼ活性が強いことを確認した。またグラブリジンの濃度を38%にしたLEを作成し酸化チタン, オリザノールなどを含むクリームに0.1%および0.2%になるように配合し, 臨床試験に使用した。色差計にて治療前後に明るさを示すL値を計測し肝斑, 炎症後色素沈着, 炎症後色素沈着と肝斑合併, 老人性色素斑などにおける治療効果を検討した。0.1%LEクリーム使用(33例)のpaired-t-testによるL値の比較では治療前後に有意(P<0.05)の改善がみられた。疾患別では肝斑単独群のみ有意(P<0.05)の改善がみられ, 炎症後色素沈着単独群と炎症後色素沈着と肝斑の合併群ではL値の有意の改善がみられなかった。0.2%使用(35例)のpaired-t-testによるL値の比較では高度に有意(p<0.01)の改善がみられた。疾患別では肝斑が高度に有意(p<0.01), 炎症後色素沈着は有意(P<0.05)の改善を示し, 0.1%より良い成績が得られた。また老人性色素斑でもL値の有意(P<0.05)の改善をみた。二重盲検による比較ではないが0.2%LEクリームの効果は0.1%のものより大きく, in vitroと同様にin vivoの効果も濃度依存性に増大する可能性が示された。

収録刊行物

  • 西日本皮膚科

    西日本皮膚科 57 (3), 594-600, 1995

    日本皮膚科学会西部支部

被引用文献 (4)*注記

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参考文献 (15)*注記

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