多発性骨髄腫を合併したアミロイド苔癬

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タイトル別名
  • Lichen Amyloidosis Associated with Multiple Myeloma
  • 多発性骨髄しゅを合併したアミロイドたいせん

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説明

四肢伸側, 腰背部, 臀部および頭部に典型的な皮疹を生じ多発性骨髄腫を合併した1例を報告した。患者は73才男子, 約10年前より上記の部位にそう痒性皮疹を生じている。検査所見では高IgG血症, 蛋白分画像にてM蛋白帯の出現, 免疫電気泳動にてIgG κ-typeのM-蛋白がみられ, 骨髄穿刺にて異型性の強い骨髄腫細胞が12.6%認められた。組織学的に真皮乳頭層にダイロン染色陽性物質がみられたが, 真皮の小血管, 胃直腸粘膜には認められなかつた。DACM法によるS-S結合染色では真皮アミロイドに一致して蛍光がみられた。また, 抗ケラチン抗体法ではアミロイド塊の一部に弱陽性所見を示した。本症例では, (1)皮膚アミロイドーシスに多発性骨髄腫が偶発的に合併したものか, (2)全身性アミロイドーシスの部分症状としてアミロイド苔癬の皮疹が生じたものか, 問題となるが, 血管周囲や胃直腸粘膜にアミロイド沈着を認めないことや, DACM, 抗ケラチン抗体の所見から, 多発性骨髄腫は皮膚アミロイドーシスに単に合併したものと推測した。治療として, 副腎皮質ホルモン単独あるいはこれと40%DMSOの等量混合溶液の閉鎖密封療法が著効を奏した。

収録刊行物

  • 西日本皮膚科

    西日本皮膚科 47 (4), 622-625, 1985

    日本皮膚科学会西部支部

被引用文献 (1)*注記

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参考文献 (2)*注記

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