糖尿病性壊疽38例の臨床的検討

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タイトル別名
  • Clinical Analysis of Thirty-eight Cases of Diabetic Foot Gangrene
  • 統計 糖尿病性壊疽38例の臨床的検討
  • トウケイ トウニョウビョウセイ エソ 38レイ ノ リンショウテキ ケントウ

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抄録

過去10年間に日本医科大学付属病院皮膚科で糖尿病性壊疽と診断した38症例に対して,その臨床像,合併症,誘因,予後について検討した。これらの症例の平均年齢は63.2歳,男女比は2.8:1で男性に多くみられた。糖尿病の罹病期間は平均12年と長く,当科初診時のヘモグロビンA1cの平均値は8.5%と血糖コントロールは不良であった。合併症として,網膜症,腎症,末梢神経障害をそれぞれ74%,68%,58%に認めた。閉塞性動脈硬化症(ASO)の合併は18%であった。また,皮膚合併症としては真菌症を最も多く認めた。壊疽の発症部位は,拇趾末節部,踵部,中足骨頭部などの荷重部に多くみられた。壊疽発症の最多誘因は,胼胝腫および鶏眼に対する不適切な自己治療を施行したことであると考えられた。壊疽に対する治療としては,抗生物質や血管拡張剤の投与,抗潰瘍材の外用など保存的療法で34例(89%)が治癒に至り,切断を要した症例は4例(11%)であった。経過観察中,壊疽が直接の原因で死亡した症例は認めなかった。今回の集計例では保存的療法が奏効した症例が多く,骨に病変が及ばない場合は保存的療法で治療可能を考えた。

収録刊行物

  • 西日本皮膚科

    西日本皮膚科 70 (1), 67-70, 2008

    日本皮膚科学会西部支部

被引用文献 (1)*注記

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参考文献 (24)*注記

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