Blaschko線に沿って生じた線状強皮症

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タイトル別名
  • A Case of Linear Scleroderma which Fllows Blaschko's Line.

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抄録

22歳の女性。5年前より自覚症状のない,幅2~7cm前後の,表面がやや萎縮陥凹した褐色の線状皮疹が胸部左側,左上肢内側に多発した。胸部左側の皮疹は心窩部から左乳房下部,側胸部にかけての線状の皮疹と,心窩部から左乳房内側,左腋窩部にかけての弧状の皮疹であった。皮疹は触診にて明らかな硬化を認めず,Blaschko線に一致していた。血液検査では抗核抗体が640倍,核小体型である以外異常なく未梢血好酸球数,血清IgG値,抗ssDNA抗体,抗Borrelia burgdorferi抗体は全て基準値範囲内だった。組織学的に,表皮はやや萎縮し,基底層にはメラニン色素が増加し,真皮は浅~中層の血管周囲性炎症細胞浸潤,深層の膠原線維の増生肥厚を認めた。Atrophoderma of Pasini and Pieriniの線状型では皮疹の走行は明らかに神経の走行に一致するが本症例では皮疹はBlaschko線に一致することより除外された。臨床的にはlinear atrophoderma of Moulinが考えられたが,抗核抗体陽性である点と真皮深層の膠原線維の増生肥厚を認める点が非典型的であった。以上より触診で明らかな硬化を認めない点で問題は残るが,線状強皮症と診断した。線状強皮症がBlaschko線に一致するか否かについては一定の見解が得られてないようであるが,最近一致する症例が報告されている。その後,経過観察中に妊娠,出産したが皮疹に著変なく24歳の時点で皮疹は,やや軽快傾向にある。

収録刊行物

  • 西日本皮膚科

    西日本皮膚科 62 (2), 159-162, 2000

    日本皮膚科学会西部支部

参考文献 (25)*注記

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