皮膚にアミロイド蛋白の沈着を認めた全身性アミロイドーシスの 2 例

  • 堤 碧
    九州大学大学院医学研究院皮膚科学分野
  • 三苫 千景
    九州大学大学院医学研究院皮膚科学分野 九州大学病院油症ダイオキシン研究診療センター
  • 伊東 孝通
    九州大学大学院医学研究院皮膚科学分野
  • 加来 裕美子
    九州大学大学院医学研究院皮膚科学分野
  • 伊藤 さおり
    九州大学大学院医学研究院皮膚科学分野
  • 中原 真希子
    九州大学大学院医学研究院皮膚科学分野
  • 古江 増隆
    九州大学大学院医学研究院皮膚科学分野 九州大学病院油症ダイオキシン研究診療センター

書誌事項

タイトル別名
  • Two Cases of Systemic Amyloidosis with Deposition of Amyloid Protein in the Skin
  • 症例 皮膚にアミロイド蛋白の沈着を認めた全身性アミロイドーシスの2例
  • ショウレイ ヒフ ニ アミロイド タンパク ノ チンチャク オ ミトメタ ゼンシンセイ アミロイドーシス ノ 2レイ

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説明

症例 1 は 49 歳の男性。重度の起立性低血圧と慢性下痢が持続し,半年間で 23 kg の体重減少を認め,徐々に心不全,多発ニューロパチーの症状が出現した。内視鏡下生検にて胃・十二指腸と回腸・盲腸・大腸にアミロイド蛋白が沈着しており,全身精査にてリンパ形質細胞性リンパ腫と診断された。病理組織学的に,肩の紅色丘疹と腹部の無疹部の真皮乳頭層,真皮内の神経,皮下組織の血管周囲にアミロイド蛋白の沈着を認めた。免疫染色では,免疫グロブリン軽鎖が陽性で,免疫細胞性アミロイドーシスと診断した。症例 2 は 77 歳の女性。40 歳頃関節リウマチを発症した。61 歳時に腎不全と診断され,同時期に施行された上部消化管内視鏡下生検にて十二指腸組織にアミロイド蛋白の沈着を認めた。その 12 年後に血液透析療法が導入された。初診時に認めた前胸部の紅斑は,病理組織学的に,真皮内の汗腺周囲にアミロイド蛋白の沈着を認め,免疫染色ではアミロイド A と β2 ミクログロブリンが陽性だった。以上より反応性AA アミロイドーシスと透析アミロイドーシスの合併と考えた。全身性アミロイドーシスでは,全身のあらゆる皮膚にアミロイド沈着を認めることがあるため,他臓器と比べて侵襲性の低い皮膚生検を積極的に行うべきであると考えられた。

収録刊行物

  • 西日本皮膚科

    西日本皮膚科 77 (4), 364-369, 2015

    日本皮膚科学会西部支部

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