Hypomelanosis of Ito の 2 例

  • 冬野 洋子
    国立小倉医療センター 九州大学大学院医学研究院皮膚科学分野
  • 中原 真希子
    九州大学大学院医学研究院皮膚科学分野
  • 古江 増隆
    九州大学大学院医学研究院皮膚科学分野

書誌事項

タイトル別名
  • Two Cases of Hypomelanosis of Ito
  • 症例 Hypomelanosis of Itoの2例
  • ショウレイ Hypomelanosis of Ito ノ 2レイ

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抄録

Hypomelanosis of Ito の 2 例を経験したので報告する。症例 1) 生後 7 カ月,男児。出生時より,僧帽弁逆流症,動脈管開存症,右大動脈弓,停留精巣,左難聴,両第 5 指のオーバーラップ,顔貌異常があった。体幹部ではほぼ水平,四肢では縦走し Blaschko 線に沿って配列する帯状・線状の脱色素斑がみられた。前額部と後頭部に Unna 母斑が疑われる血管拡張を認めたが,その他経過中に紅斑や鱗屑,水疱はみられなかった。以上より hypomelanosis of Ito と診断した。染色体異常はなく,頭部 MRI でも異常を認めなった。皮膚生検の HE 染色では明らかな異常所見を認めず,脱色素斑部と正常部での相違も認めなかった。フォンタナマッソン染色では,脱色素斑部で基底層のメラニン顆粒は減少しており,組織学的色素失調の所見はみられなかった。MITF 染色,チロシナーゼ染色,c-KIT 染色ではいずれも脱色素斑部で基底層の陽性細胞が減少していた。症例 2) 1 歳 1 カ月,女児。出生時より,鎖肛,両外反腫足症,右第 3~5 趾合趾症,左第 4・5 趾合趾症,左腎低形成を認めた。また,四肢に縦走する線状・帯状の脱色素斑を認め,hypomelanosis of Ito と診断した。本症は中枢神経症状を主とした重篤な合併症が大きな問題となることが多いが,特徴的な皮疹から皮膚科医が早期診断に寄与すべき疾患と思われる。

収録刊行物

  • 西日本皮膚科

    西日本皮膚科 76 (1), 18-22, 2014

    日本皮膚科学会西部支部

参考文献 (4)*注記

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