胼胝を主訴に皮膚科を受診し,確定診断に至った Werner 症候群の 1 例

  • 大矢 和正
    筑波大学附属病院水戸地域医療教育センター 茨城県厚生連総合病院水戸協同病院皮膚科
  • 田口 詩路麻
    筑波大学附属病院水戸地域医療教育センター 茨城県厚生連総合病院水戸協同病院皮膚科

書誌事項

タイトル別名
  • A Case of Werner Syndrome with Multiple Calli Presented to Dermatology Department
  • 症例 胼胝を主訴に皮膚科を受診し,確定診断に至ったWerner症候群の1例
  • ショウレイ タコ オ シュソ ニ ヒフカ オ ジュシン シ,カクテイ シンダン ニ イタッタ Werner ショウコウグン ノ 1レイ

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抄録

<p>45 歳,男性。既往に副甲状腺機能亢進症,白内障,脂質異常症,骨粗鬆症がある。幼少期から筋肉量は少なく,低身長であった。10 代から手指の硬化が始まり,20 代から毛髪が疎になり白髪が広がった。 40 歳頃から足底皮膚が硬化し,胼胝を主訴に当院皮膚科を受診した。受診時に低身長,白髪,鳥様顔貌,甲高い音調の声を呈していたため,特徴的な所見から Werner 症候群を疑った。血液検査では原発性性腺機能低下症,下肢のレントゲン検査ではアキレス腱に火焔状の石灰化がみられた。エコー検査で脂肪肝と甲状腺右葉に径 6 mm の囊胞と左葉に径 9 mm の腫瘤がみられた。遺伝子検査を行ったところ,WRN 遺伝子の c.3139-1G>C が両アレルにみられた。Werner 症候群の診断基準の主要徴候を全て満たし確定診断に至った。Werner 症候群は日本人に多い疾患であり皮膚症状が幼少期から起こりやすいことから,皮膚科の受診を契機に確定診断に結びつくことがある。Werner 症候群では代謝内分泌異常や白内障,心筋梗塞,悪性腫瘍など多岐に亘る合併症を起こしうるため,皮膚科医としても定期的な採血で糖尿病,脂質異常症を調べることや,心筋梗塞や悪性腫瘍に関連した症状がないか注意し,定期的な検診を推奨することが重要である。</p>

収録刊行物

  • 西日本皮膚科

    西日本皮膚科 79 (5), 478-481, 2017

    日本皮膚科学会西部支部

参考文献 (11)*注記

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