北海道東部の落葉広葉樹天然林およびカラマツ人工林における土壌性トビムシの科のαおよびβ多様性と土壌深度分布との関係

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タイトル別名
  • Soil depth distribution and the patterns of alpha- and beta-diversity of families of soil Collembola in cool-temperate deciduous natural forests and larch plantations of northern Japan

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抄録

トビムシの科において,水平分布および土壌深度分布に関する住み場所資源の分割と種の多様性の関係はほとんどしられていない.冷温帯上部に位置する北海道東部の森林において,トビムシの分類群ごとに有機物層,鉱質土層の個体数の割合とシンプソンの多様度指数におけるα,β多様性の関係を調べた.調査には南北斜面方位の尾根から谷地形を含む十分な環境傾度をもつ,6つの落葉広葉樹天然林と5つのカラマツ人工林を用いた.有機物層に生息する割合(%OL)が最も高かったのはトゲトビムシ科であり,最も低かったのはムラサキトビムシ科であった.%OLの科内における種間でのばらつき(SDW:標本の加重平均標準偏差)は,シロトビムシ上科およびツチトビムシ科で大きく,最も低かったのはキヌトビムシ科であった.シンプソンの多様度指数から計算したα多様性はツチトビムシ科やシロトビムシ上科で高く,ムラサキトビムシ科,キヌトビムシ科で低かった.β多様性はムラサキトビムシ科,トゲトビムシ科で高く,ツチトビムシ科,キヌトビムシ科で低かった.SDWと多様度指数におけるα多様性の間には有意な正の相関がみられた.これはトビムシの科内における種の土壌深度分布のばらつきが林分内での局所多様性と関係していることを示している.%OLと林分間のβ多様性の間に有意な相関はみられなかった.またSDWとα/γの間には正の相関,β/γの間には負の相関がみられた.また,科のα多様性とβ多様性の間には有意な負の相関がみられた.これは林分内での局所多様性の大きい科では林分間での種の入れ替わりが小さいことを示している.

収録刊行物

  • Edaphologia

    Edaphologia 91 (0), 9-20, 2012

    日本土壌動物学会

参考文献 (30)*注記

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