吉野川の厂史 (その3)

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タイトル別名
  • The History of Yoshino River (Part 3)

抄録

前回は“庄屋豪農の日記類における洪水と普請お記録” と題して藩政時代の農民が河川工事の重要さをどの程度に意識したかを, 農村側に残る記録によって調べた。今回は逆に藩側から出た文書の中に出水や勧農川除普請に関係した記述がどの程度目出せるかを課題として、藩法や農村法と云われるものの中から関係する条文を抜き出してコメントを加えた。しかし徳島藩の場合だけを取り挙げ纏めるのは資料不足で全体の理解が困難なため、先ず紀州藩の場合を参考にして体系を整えた。そので徳島藩によって編纂された「元居書抜」を取り挙げ、その2800あまりある条文の中で郡制、普請奉行と分類された条文から関係深い記述を抜出した。この結果想像以上に具体的な記述や規定の多いのに驚いた。次に上の当然の、むしろ社会的モラルと云えるような規定に縛ばられた出先が如何なる対応をしているかを知るため、また郡代が農村を如何に見ていたかを分析するため、郡代の現地報告とも云える「御郡代御用手掛申上書」を調べた。これにより藩側の第一線の郡代の動きは狭い徳島藩の中でも決して一筆ではなく、藩側の指示に姑息に抵抗する者も、また案外現在の感覚にも通ずる積局的な動きをしている者も居る興味ある事実を知ることが出来た。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001204326621568
  • NII論文ID
    130003839552
  • DOI
    10.11532/journalhs1981.3.16
  • ISSN
    18848133
    09134107
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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