暗渠水道の起源について
書誌事項
- タイトル別名
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- ON THE ORIGIN OF CULVERT TYPE WATER WORKS IN JAPAN
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説明
中国西安に河川から導水、暗渠で配水し井戸 (溜桝) から水を汲み利用する施設が明代1465年に建設されたことが、1494年刊の「菽園雑記」に記されている。この施設は (1) 竣工年が先行する、(2) わが国の神田上水、赤穂水道等と構造が類似している、(3) 「菽園雑記」に西安に水道が無いため先の施設を造ったとあり、わが国の給水施設に慣用される水道という言葉が見えることから、西安の給水施設がわが国の類似施設の起源である可能性がある。しかし、直接西安の給水施設、「寂園雑記」に触れた水道史料は見あたらない。水戸笠原水道を顕彰した浴徳泉碑の文中に「菽園雑記」の表現を意識したと思われる記述がある。「日本水道史」ほか各地の水道史誌からわが国の水道施設の配水域の構造を分類すると、開渠、開渠が暗渠化、当初から暗渠の施設に分けられる。平城京、平安京などでは道路の両側に溝があり給水施設としても利用されていた。また、中・近世城郭建設において給水施設、水の手、は重視され、「太平記」にある赤坂城の施設に代表される暗渠の樋による給水施設がある。わが国の暗渠水道は、溝の暗渠化、懸樋の暗渠化、水の手建設技術の発展により可能と思われる。しかし、水道という用語から「菽園雑記」にある西安の暗渠施設をわが国の水道建設者が知っていたと思われ、暗渠給水施設の一つのモデルなっ可能性を検討すべきであろう。
収録刊行物
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- 日本土木史研究発表会論文集
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日本土木史研究発表会論文集 7 (0), 171-178, 1987
公益社団法人 土木学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390001204326931968
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- NII論文ID
- 130004038036
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- ISSN
- 18848133
- 09134107
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可