猪苗代湖疏水 (安積疏水) に関するフアン・ドールンの業績に対する検討

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タイトル別名
  • A Study on the Achievemennt of Van Doom on the Plan for Drain INAWASIROKO Canal (ASAKA Canal)

抄録

猪苗代湖疏水(安積疏水)は明治初期の最初の国営農業水利事業であり、その設計について、戦前ではフアン・ドールンの業績が高く評価されていた。しかし、戦後昭和29年9月10日付けの「毎日新聞」(福島地方版) に彼の設計にたいして異義を唱える報道があり、それ以後、彼の疏水工事に関する功績をはとんど否定するような論説が多く見られるようになった。そこで、「安積疏水志」(天・地・人、明治38年、織田完之編) を始め種々の文献よりフアン・ドールンの疏水工事に対する業績について再検討を行ってみた。また、彼が猪苗代湖等の現地視察後、石井土木局長に提出した復命書「水ヲ猪苗代湖ヨリ引キ以テ福島県ノ稲田二灌クニ供スル溝渠ノ計画」(これは明治前期の国家的大事業の計画と、彼の設計や工法について述べた重要な資料である) に示されている設計式については、誤写されて「安積疏水志」に載せられているため、ほとんどの式が意味不明となっている。この原因についても原本にまでさかのぼって調べ、設計式の訂正を試み、フアン・ドールンの猪苗代湖疏水に関する業績を明らかにする。ここで、疏水工事の実施設計および施工は全て南一郎平、山田寅吉をはじめとする日本の技術者であることは周知のことであるが、この報告では、フアン・ドールンの関係する事柄に重点をおいて調べた。

収録刊行物

  • 土木史研究

    土木史研究 11 219-228, 1991

    公益社団法人 土木学会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001204327563008
  • NII論文ID
    130003839608
  • DOI
    10.2208/journalhs1990.11.219
  • ISSN
    18848141
    09167293
  • データソース種別
    • JaLC
    • Crossref
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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